英心理学者「イスラエル人の大半は自己愛性障害」
イスラエル人の大半は、戦争の継続を熱望しており、ガザで行っているジェノサイドや戦争犯罪が正当なものであると信じ込んでいます。
以下は米心理学者エマード・ムーサー氏の解説です
どの社会においても、その指導者は社会全体の考えやアイデンティティ、倫理観などを反映しています。
多くのイスラエル市民が、昨年10月7日のハマスによる攻撃を許したとしてネタニヤフ首相に怒り、また今に至るまで捕虜解放に向けた合意に至らず、「イスラエルの民主主義」を脆弱にしたとして非難しています。しかし、その同じ市民が、パレスチナ人に対する政府の姿勢については相変わらず支持しているのです。
イスラエル人の大半は、戦争の継続を熱望しており、ガザで行っているジェノサイドや戦争犯罪が正当なものであると信じ込んでいます。
イスラエルのSNS空間は、今も人種差別やジェノサイドを肯定する投稿や殺されるパレスチナ人を揶揄する動画などであふれています。
現在、イスラエル人が使っている言葉には、ジェノサイドが起きた当時のルワンダと同じ表現が多く見られるという指摘もあります。
イスラエルによる暴力の実相
この問題について3つの要因に注目する必要があります。それは、被害者意識、自意識過剰、パレスチナ人を非人間として認識することの3つです。
歴史を振り返れば、シオニズムがそれまで「虐げられてきたユダヤ人」を解放するという思想にもとづいて唱えられ、イスラエル「建国」が「犠牲となったユダヤ人」に報いるものとされてきたことがわかります。
イスラエル人は現代史において、自らを被害者とするおそらく唯一の占領勢力です。この被害者意識が、彼らにパレスチナ人に対する憎悪を高めてきました。
彼らはこの思考回路を強化するために、イスラエル人が「選ばれた民」であることを常に強調します。
昨年にイスラエルで行われた世論調査では、「ユダヤ人は旧約聖書に書いてあるとおり『選ばれた民』であると思うか?」との質問に、大半の回答者が「思う」と答えました。
また、2016年に行われた調査では、回答者の61%が「イスラエルは神がユダヤ人に与えた土地である」と考えていると回答しました。
このことは、パレスチナ人が一切の権利を持たず、イスラエルは彼らを「人間の姿をした動物」として虐殺し、土地を征服できるという論理に結び付きます。
そのため、上記に挙げた3つの要因により、イスラエル人は自己愛性障害に陥り、容易にパレスチナ人の虐殺に走るのです。
心理学的な観点からみると、こうした自己愛性障害は自分に優越意識をもたらし、自らの安全を守るためなら、倫理的な観点を無視してでも何をしてもいいと思うようになります。
ネタニヤフ首相をはじめとするイスラエルの右派勢力が、ガザの1万4000人以上の子供の殺害を指示し、家屋を破壊し尽くしたことはこうした理屈によるものです。
そして、それを多くのイスラエルのユダヤ人が支持していることを忘れてはなりません。
つまり、ネタニヤフ氏ひとりが病気なのではなく、イスラエル社会全体が病理を患っているのです。
※米国の心理学者エマード・ムーサー氏は、イスラエル・パレスチナ問題に取り組み、カウンセリングのほか、大学やメディアなどでも活発に活動しています。
引用元:Moussa, Emad. 2024. Israel is a broken society. And it's not just Bibi to blame. The New Arab.