異様な戦争犯罪で人権を無きものにするイスラエル
国際人道法の原則のひとつに、戦闘中の武装要員のみを攻撃対象としてよいということがあります。しかし、イスラエルはそれ以外の民間人や医療関係者、ジャーナリストなどを平然と殺害しています。
【ParsToday国際】イスラエルが最近行った、レバノン国内の通信機器を爆破させるテロは、世界に衝撃を与えました。このテロでは数十人が犠牲になり、数千人の負傷者を出しました。負傷者の中には失明した人も多く、依然深刻な容態にある人もいます。
このような恐ろしい攻撃は国際法で認められているのでしょうか? 答えは明白です。多くの国際法学者がこのイスラエルによるテロを戦争犯罪とみなしています。それは一部の通信機器がヒズボッラー要員が保持していたものだったとしても、明白な国際法違反なのです。
ジュネーブ条約や国際司法裁判所の判決などからなる国際人道法は、戦争による被害を抑えるため厳格な規定を定めています。それが戦闘員と民間人の区別です。この区別を守らずに民間人を攻撃することは禁止されています。
戦闘員・民間人の区別と均衡性への違反
国際法学者は今回のイスラエルによるレバノンへのテロを、戦闘員と民間人の区別への違反だとしています。イギリスの政治学者アロンソ・ダンケルバーグ氏は、国際法にもとづけば、イスラエルは攻撃対象の通信機器を1台ずつ精査し、所有者が戦闘員であると確証を得ねばならなかったと説明しています。しかし、イスラエルはこうした確認をせず、複数の地域で同時多発的に通信機器を爆破しました。
また、英オックスフォード大学の倫理・法・武力紛争研究所のジャニナ・ディル共同所長は、数百台の通信機器を同時に爆破することは「均衡性の原則」にも違反していると指摘します。
民間人を標的にした攻撃
国際人道法の原則のひとつに、戦闘中の武装要員のみを攻撃対象としてよいということがあります。しかし、イスラエルはそれ以外の民間人や医療関係者、ジャーナリストなどを平然と殺害しています。また、多くの子供たちも犠牲になっています。先の通信機器の爆破テロでは、ヒズボッラー要員の子供だった10歳の女の子も亡くなっています。
ディアコニア国際人道法センターのエレン・ノフレ氏は、「直接的に戦闘に参加していない者を攻撃対象にすることはいかなる場合でもあってはならない」と強調します。そのため、たとえ通信機器を所有していたのがヒズボッラーの要員であったとしても、戦闘に参加していない状態であれば、攻撃対象にすることはできません。
ブービートラップの使用
今回の通信機器の爆破によるテロは、特定通常兵器使用禁止制限条約で禁止されているブービートラップの使用に該当します。この条約にはイスラエルも署名しています。
ジュネーブ国際・開発研究大学院のアンドリュー・クラファム氏は、イスラエルが今回のテロで明確に相手を殺害・負傷させることを目的として通信機器を仕組んだとして、国際法違反にあたるとの見方を示しています。
先のノフレ氏も、爆破が政府あるいは政府の指揮下にある人物により実行された場合は、国際法違反であるとしています。
今回イスラエルが起こしたテロは、それが人道に反するだけでなく、イスラエルがあらゆる国際法を無視していることの表れでもあります。国際社会はこうした行動を続けるイスラエルに毅然とした対応をとる必要があります。