イスラエル特殊部隊に対するヒズボッラーの驚異的な攻撃で明らかになった事実
イスラエル軍特殊部隊旅団に対するヒズボッラーの攻撃は、この戦争における同組織の最も重要な作戦と呼ぶことができ、特に防衛システムの突破という理由から、戦況展開の過程において重要かつ効果的なものだったと言えます。
【ParsToday西アジア】先月末以降、イスラエル軍幹部の口からは、ヒズボッラーがトップのいない組織となり、その最高司令官たるナスロッラー事務局長の暗殺後、力を失ったとする発言が多くなされていました。しかし、ここで熟考すべき点は、先月にヒズボッラー無人機部隊のトップであるムハンマド・フセイン・サルワル氏が暗殺された後も、ヒズボッラーの中・短距離ミサイルの大部分がイスラエル占領地に発射され、万人が衝撃を受けたということです。
イランの新聞「ヴァタネ・エムルーズ(今日の祖国)」は、イスラエル軍の特殊部隊・ゴラニ旅団に対するヒズボッラーの驚くべき攻撃を分析した、モハンマド・アリー・ハサンニヤー氏によるコラムの中で、複数の点を指摘しています。以下に、その記事を掲載します。
ゴラニ旅団基地への攻撃の成功とその多層の防空網を迂回する能力は、イスラエルによる激しい対ヒズボッラー攻撃とそれによるナスロッラー事務局長暗殺から1カ月も経たないうちに実行された。
イスラエルの攻撃とテロにおける主な目的は、ヒズボッラーを破壊し武装解除させることであり、自らの占領地がミサイルや無人機で攻撃されないようにすることだった。しかし、これは実現しなかっただけでなく、ヒズボッラーはさらに強力になっている。
ヒズボッラーの強力な情報収集能力
今回の攻撃は、ヒズボッラーがゴラニ旅団基地の位置に関する正確な地理情報に加えて、基地内におけるイスラエル軍兵士の挙動や当時彼らが食事中だった状況を把握していたことを示している。このことは、この抵抗組織が強力な重火器に加えて、イスラエル兵士がいつ食事をとるかを把握する強力な情報収集能力を持っている証だ。
ヒズボッラーの継続的な重火器ラインの安定性
この攻撃は日々の一連の攻撃の一環として行われ、イスラエルの銃弾の嵐、砲撃、イスラエル軍4個師団を含む地上進撃の試みにもかかわらず、南部におけるヒズボッラーの戦闘管理の継続能力を証明した。ヒズボッラーはイスラエルの軍事拠点、基地、入植者居住地に毎日100発から200発のロケット弾を発射し続けており、このこと自体、この抵抗組織が無限・無尽蔵であることを示す大きな成果だと言える。
イスラエルのテロ政策の失敗
一方、ヒズボラの公式声明はさらに、イスラエル占領地北部からさらに多くの入植者を追い出す意向であり、彼らの帰還がレバノンとガザで停戦が成立した場合にのみ可能であることを示唆している。これは、イスラエルがそのテロ政策が軍事と安全保障の方程式を変えられていないことを示すものだ。
未知の兵器と特別な攻撃能力を持つヒズボッラー
この攻撃はこの戦争におけるヒズボッラーの最も重要な作戦と言えるものであり、特に防衛システムの突破という点で戦況展開の過程において重要かつ効果的である。また、作戦による負傷者と死亡者の数が多かった点でも同様だ。ある意味、戦争が始まって3週間でこのような出来事が起こったのは前代未聞だ。また、一部のヘブライ語メディアやアルジャジーラは、今回のヒズボッラーによる攻撃で先進的な無人機が初めて使用されたと伝えている。もっとも、現時点では、使用された無人機の種類はまだ明らかになっておらず、これについて評価はできない。
ショックに対するヒズボッラーの対応能力
今回の攻撃によりヒズボッラーはイスラエルから受けた攻撃のショックから解放され、今度はイスラエルがショックに陥る番となった。暗殺作戦、特にナスロッラー事務局長の暗殺に浮かれていたイスラエルは2つの衝撃を受けている。まず、レバノンへの地上攻撃では、南部の山岳地帯という障害物のために問題に直面し、いくつかの段階で目標を達成できずにいる。もうひとつが今回のヒズボッラーの無人機作戦で、これはイスラエル市民にも衝撃を与えた。この作戦はイスラエルにとって軍事的負担よりも精神的な負担を与えた格好となり、レバノン南部を占領するというイスラエルの野望を打ち砕いたのだ。