ハマスとイスラエルの間で停戦合意が成立:その内容は?
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ハマスとイスラエルの間で停戦合意が成立:その内容は?
シオニスト政権イスラエルとパレスチナ・イスラム抵抗運動ハマスが15日夜に停戦と人質交換で合意した内容には、ガザでの戦争終結を目指す3段階の合意が含まれています。
【ParsToday西アジア】 イスラエルは1年3カ月にわたる残忍な戦争の末、地上戦介入による捕虜兵士の解放、ハマス壊滅という目標を達成できなかった末、ついに15日夜ハマスと停戦合意に達しました。今回の合意は3段階で構成されており、19日から実施されることになっています。「ガザにおけるイスラエルとパレスチナの当事者間の人質交換と恒久的な停戦確立に関する合意の一般原則」と題されたこの合意の軸は以下の通りです。
- 抵抗勢力に捕らえられたイスラエル人人質全員は生死を問わず解放され、その見返りとしてイスラエル側は合意通り刑務所に拘束されているパレスチナ人の一部を釈放する
- 人質交換は、合意内で「初日」と指定されている停戦日に開始される
- 今回、イスラエルとハマスは、「恒久的な停戦」「ガザ地区からのイスラエル軍の撤退」「ガザの再建」「検問所の再開および人々の移動と物流の円滑化」という4つの目的につながる停戦への用意をめぐり合意した
合意内容は、以下の通り3段階に分かれています。
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第一段階(42日間)
- 双方による軍事作戦の一時的停止と「ネツァリム回廊を含むガザ全域の国境沿いの人口密集地域」からのイスラエル軍の撤退
- イスラエル軍によるガザ地区上空の飛行を1日10時間、人質交換が行われる日は12時間、一時的に停止する。
- 避難民の居住地への帰還
- 停戦発効から7日目(イスラエル人人質7人の解放後)、イスラエル軍はアル・ラシッド沿岸街道から東にサラーフッディーン街道まで完全に撤退する
- イスラエルはこの地区にある自らの軍事拠点・施設の完全撤去を約束し、これにより避難民の居住地への帰還(武器所持なしでの)が始まることになる。ガザ地区全域における人々の移動の自由は制限されず、人道援助の搬入も初日から制限されない
- 22日にはイスラエル軍がガザ中心部(具体的にはサラーフッディーン街道の東側から国境沿いの地域までのネツァリム回廊)から撤退し、軍事基地や施設は完全に撤収される
- 初日から人道支援が許可される(1日当たり燃料トラック50台を含むトラック600台、うち300台はガザ地区北部からのもの)。これには、発電所の稼働に必要な燃料や瓦礫の除去、病院の再建と立ち上げに必要な商用車両および建設機材が含まれる
人質交換
- ハマスはイスラエル人人質33人(兵士および民間人の女性)、子供(19歳未満で兵士ではない者)、成人(50歳以上)、病人および負傷者を解放する
- その見返りとして、イスラエル側は刑務所に拘束されているパレスチナ人の一部を釈放する。イスラエルは、ハマスが提供した優先リストを考慮し、ハマスが釈放する女性あるいは子供1人につき、パレスチナ人の女性と子供30人を釈放する
- 同様に、ハマスが釈放した高齢および病気の人質1人と引き換えに、イスラエルは成人および病気のパレスチナ人30人(最大15年の拘束期間が残っている者)を釈放する
- ハマスがイスラエル人女性兵士1人を釈放するのと引き換えに、イスラエルはパレスチナ人50人(終身刑30人、最長15年の刑に服している20人)を釈放する
- 上記の内容はハマスが提示するリストにもとづいて行われる。釈放されるパレスチナ人の数(少なくとも100人)については、第2段階で交渉される見込みである。彼らのうち一部は釈放され、海外またはガザへ送られる
人質交換の手順
- ハマスは初日にイスラエル人3人を、7日目にさらに4人を解放する。その後、ハマスは7日ごとにイスラエル人3人を解放する。解放は女性から開始される
- ハマスは生存しているイスラエル人人質から先に解放し、6週目にイスラエルの刑務所に収監されている合意済みの数のパレスチナ人釈放と引き換えに、この段階で残っている人質全員を釈放する。イスラエル側から釈放されるパレスチナ人は、ハマスが提供したリストに基づいて同時に行われる
- ハマスは7日目までに、現段階で解放される予定のイスラエル人の人数に関する情報を提供する
- イスラエルは6週目に(人質のヒシャム・アル・サイード氏とエフラ・メンギストゥ氏の解放後)、再度拘束されたパレスチナ人47人を釈放する
- 生存して解放されるイスラエル人が33人に達しない場合、その数は死亡した人質の遺体の返還によって補完される。その見返りとして、イスラエルは6週目において、2023年10月7日以降にガザ地区で拘束されたすべての女性と子供(19歳以下で戦闘意志のない者)を釈放する
- イスラエルは、釈放されたパレスチナ人を同じ容疑で再逮捕しないこと、また釈放されたパレスチナ人を刑務所に引き戻して残りの刑期を服役させないことを約束する
- 釈放されたパレスチナ人は、釈放の条件としていかなる書類にも署名する必要がない
- 上記の人質交換の開始は、合意の第2段階における交換開始の根拠とはみなされない
- 遅くとも1月16日までには、両者の間で特に人質交換の開始に関連する第2段階の実施条件をめぐる間接交渉が開始される。交渉は第1段階第5週の終わりまでに完了し、合意される予定である
人道支援
- 国連、国連傘下の機関、およびその他の組織は、ガザ地区全域で人道支援活動を継続する
- ガザ全域のインフラ(電気、上下水道、通信、道路)の再建および、民間人保護(救急機関)に必要となる合意された量の装備の搬入が開始される
- 戦争で家を失った避難民を収容するための物資や必需品の搬入が円滑化される。少なくとも6万の運搬団と20万個のテントが搬入される
- イスラエルの女性兵士全員が解放された後、負傷したハマス兵士数名が治療のためラファ検問所へ向かう。さらに、ラファ検問所を通過する旅行者、病人、負傷者の数が増やされ、旅行制限が解除され、物資の移動と貿易が再開される
- 戦争中に破壊された住宅、民間施設、民間インフラの全面的な再建と被災者の支援のために必要な措置・計画が、エジプト、カタール、国連を含む複数の国と組織の監視の下で開始される
- この段階のすべての措置、すなわち軍事停戦は、その実施条件に関する交渉が続く限り、第2段階においても継続される。この合意では、カタール、米国、エジプトの3国が、第2段階の実施条件について双方が合意できるまで間接交渉の継続に全力を尽くすことが規定される
第2段階(42日間)
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恒久的な停戦(定期的な軍事作戦および侵略行為の停止)が宣言され、人質交換の前に実施される
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イスラエルが拘束するパレスチナ人の一部の釈放と引き換えに、生き残っているイスラエル人人質全員の釈放について話し合われる。この段階で、イスラエル軍はガザ地区から完全に撤退する
第3段階(42日間)
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死亡した人質の遺体の身元確認と場所決定の後、双方の間で全ての遺体の交換が行われる
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エジプト、カタール、国連などの国や組織の監視の下、住宅、都市施設、民間インフラ、被災者支援を含むガザ地区の3~5年復興計画の実施が開始される。国境検問所を再開し、人と物資の移動が円滑化される
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シオニスト政権は、米国と西側諸国の支援を受けて、2023年10月7日にガザ地区に対する壊滅的な戦争を開始しました。その結果、大規模な破壊に加えて4万6000人以上のパレスチナ人(その大半が女性と子供)が殉教し、さらに少なくとも10万人以上のパレスチナ人が負傷しました。しかし、イスラエル側はガザ住民に対し467日間にわたる戦争でこれほどの犯罪を引き起こしておきながら、この戦争の目的であるハマスの壊滅および人質奪還を自力で達成できなかったことを認めた形です。

