イスラエル評論家「米・ハマスの直接交渉はイスラエルにとって戦略的な失敗」
(last modified Wed, 14 May 2025 07:22:34 GMT )
May 14, 2025 16:22 Asia/Tokyo
  • イスラエル評論家「米・ハマスの直接交渉はイスラエルにとって戦略的な失敗」
    イスラエル評論家「米・ハマスの直接交渉はイスラエルにとって戦略的な失敗」

イスラエル評論家が、長年の米・イスラエルの蜜月関係が崩壊する可能性があるとして警告しました。

【ParsToday西アジア】イスラエル占領地ハイファ大学の政治学教授で、イスラエルとアメリカの関係を専門とするアブラハム・ベン・ズヴィ氏は、現地紙ハヨムへの寄稿で「共通の価値観に基づき、『特別な関係』という称号を得てきた米国とイスラエルの60年にわたる深い戦略・外交的なパートナーシップは、今や同盟の将来を危うくする恐れのある重大な段階に達している」とし、トランプ米大統領とネタニヤフ首相が、地域情勢が予断を許さない中で、対立関係に陥る可能性があると指摘しました。

ズヴィ氏によれば、ガザ戦争の速やかな終結はトランプ大統領にとって、大きな危機の解決、もしくは少なくとも事態制御のための間断ない努力という決断力を持つ指導者として名声を築く上で重要な要素だとされています。トランプ大統領は自らを仲介者として吹聴しようとしており、また西アジア地域をアメリカの支配下に置き直す取り組みの一環として、ガザ戦争を捉えています。

その上で、「この目標の達成は、米とペルシャ湾のアラブ諸国間の相互合意にかかっている。アメリカは、これらの諸国に対する先進兵器の供与により、自国経済への巨額投資と引き換えに地域における軍事的立場の向上を狙っている」としました。

ズヴィ氏は、こうした狙いからガザ停戦をめざすトランプ大統領とスティーブ・ウィトコフ西アジア問題担当米大統領特使が、あくまで戦闘継続にこだわるイスラエルの戦略的論理に「当惑している」とし、両者にとってこの戦争は「無意味かつ無目的に映っている」としました。

このイスラエル人アナリストは、地域における最近の出来事が米・イスラエル関係のさらなる緊迫化をまねく可能性があると指摘しました。そうした最近の出来事には、アメリカとハマスの直接交渉により米・イスラエル二重国籍の捕虜エイダン・アレクサンダー氏が釈放されたことも含まれます。

ズヴィ氏は最後に、「近い将来、たとえ象徴的であっても、戦争後のガザ統治におけるハマスの政治的役割が認められる可能性がある。また今後の情勢変化の一部として、イスラエル政権に相談せずにイランと核合意を結んだり、同政権の同意なしにサウジアラビアの非軍事目的の核計画を支援したりする可能性も存在する」としました。

 


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