ハマスとパレスチナの各抵抗組織が米国提案の決議に反対する理由とは?
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パレスチナ・イスラム抵抗運動ハマスの紋章
パレスチナ・イスラム抵抗運動ハマスが声明で、パレスチナの複数の組織および勢力が国連安保理における米国の決議案に関する覚書を発行したことを明らかにするとともに、「この覚書において米国提案の決議案への反対を強く表明した」と強調しました。
ハマスは声明において、「パレスチナの各組織や勢力が今回発表した覚書では、安保理で採択される米国の決議案に対する危険性が警告されており、特にガザ地区への国際部隊の創設はガザへの国際的監督の押し付けや、占領者に贔屓的なアプローチの実行のための工作であるとみなされている」と強調しています。
国連安保理は、ドナルド・トランプ米大統領のガザ地区計画を支持する決議案について17日月曜に採決を行う予定です。米国の計画は、ガザ地区を統治する暫定移行機関として「和平評議会の設立」を歓迎しており、同評議会の任務はトランプ政権下で2027年末まで継続されることになっています。
ハマスとパレスチナ抵抗勢力は、米国が提案した決議に反対しています。その理由は、米国が常にシオニスト政権イスラエルの肩を持ち、その計画がパレスチナ人の権利保護ではなくイスラエルによる占領の永続化を目的としていることにあります。このため、ガザ統治を目的とした米国の計画はいずれも不信感を持たれています。
ハマスの声明では「抵抗組織の兵器に関する議論は全て国民的かつ内政上の問題であり、外部からの圧力を受けるべきではない」とされています。パレスチナの抵抗勢力は、抵抗と自衛の権利が国際法上確立された正当な権利であると強調しています。
米国が提案した草案には、2027年までガザを統治する国際部隊または暫定機関の設置が盛り込まれています。しかし、ハマスはこの措置を、パレスチナ人の自治権を損なう「国際的な監視の押し付け」であるとみなしています。彼らはさらに、「ガザは米国や西側諸国と連携する機関の指導下に置かれるべきではなく、パレスチナの各機関の参加を得て、アラブ・イスラム共同体の枠組みの中で統治されるべきだ」と考えています。
ハマスは「米国の計画は実際にはイスラエルの利益を追求するものであり、復興プロセスと人道支援を圧力と脅迫の道具に転用しかねない」と警告しています。さらに、UNRWA国連パレスチナ難民救済事業機関などの機関の役割を弱める可能性も指摘されています。
ハマスはまた、「トランプ大統領が提案した決議案の真の代替案は、停戦を強化し、またガザ、ヨルダン川西岸、聖地ベイトルモガッダス・エルサレムにおけるイスラエルの侵略を阻止する拘束力のある決議案であるべきだ」と主張しています。さらにパレスチナの各抵抗勢力は、「米国の決議案はガザの人道状況と治安状況の安定化の助けにはならない」と考えています。
パレスチナ抵抗勢力は、ガザの統治をパレスチナ国民の権利と見なしており、外国による一切の干渉に反対しています。言うまでもなく、米国とシオニスト政権がこの決議案で目指しているのは、抵抗勢力の軍事力と政治力を制限し、パレスチナの各機関の役割を弱め、占領を強化することです。
ハマスとパレスチナ抵抗勢力が安保理における米国提案の決議に反対している理由は、歴史を通してのアメリカの政策に対する不信感および、アメリカの公然としたイスラエル贔屓という文脈で分析できます。これらの勢力は、米国の計画はパレスチナ人の権利擁護ではなく、占領の強化や抵抗勢力の抑制を目的に仕組まれたものだと考えています。
ハマスをはじめとするパレスチナの各勢力は、真の停戦、イスラエルの侵略の終結、そしてパレスチナ人の民族的権利の保障を優先する決議の必要性を強く主張しています。したがって、パレスチナ勢力側の反対は単なる政治的反応ではなく、パレスチナ人の意思決定の独立性の維持および、ガザ行政への外国の干渉阻止を目的とした、より広範な戦略の一環なのです。

