イスラエルの怒涛の一週間;シリア国境での行き詰まりからヨルダンとの緊張、エプスタイン論争まで
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シオニスト政権イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相
占領下のシリア領をめぐるシオニスト政権イスラエル政権とシャラア・シリア政権との交渉が行き詰まっている中、パレスチナ人に対するイスラエル閣僚の物議を醸す発言や、少女買春などの罪で起訴され自殺した米富豪ジェフリー・エプスタインとイスラエル諜報機関モサドの関係に関する記事が再掲載されたことは、イスラエル政権が安全保障、外交、メディアの複数の面で同時に新たな危機に直面していることを物語っています。
シリア国境における緊張の高まり、内的圧力を押しきってのネタニヤフ・イスラエル首相の訪米強行計画、イスラエル閣僚発言に対するヨルダンの激しい反応、そしてエプスタイン氏の性的人身売買ネットワークをめぐる新たな論争から、地域・国際舞台でイスラエルが不安定かつ重層的な状況にあることが新たな形でクローズアップされています。
複数のメディア報道によれば、対シリア交渉が膠着状態にはまっていることに加え、内部紛争や物議を醸す事件がイスラエル政権の外交政策と安全保障体制に依然として大きな影を落としています。
ここからは、ここ数日におけるイスラエル関連の重要な動きをまとめてお伝えします。
イスラエル占領下のシリア領をめぐる両者の交渉は膠着状態
イスラエルの第12チャンネルTVは、イスラエル当局がシリア領内のイスラエル占領地、特に緩衝地帯と戦略的な山地であるジャバル・アル・シェイク地域からの撤退を「非論理的」と見なしていると報じました。同局はまた「一部の主張とは異なり、アメリカからシリアとの安全保障協定締結を迫られてはいない」と強調しています。
シオニスト系メディアの情報筋によれば、ネタニヤフ首相が占領下のシリア・ゴラン高原からのイスラエル軍の即時撤退に頑固に反対しているため、イスラエル・シリア間の交渉は完全に停止しています。公式シオニスト系メディアはまた、イスラエル軍の撤退はシリアとの「包括的和平協定」の締結が条件であると発表しています。
同時に、ネタニヤフ首相は治安当局高官らを伴う違法な訪問において、シリア領であるはずのジャバル・アル・シェイク高地にあるイスラエル軍基地に立ち入り、記者会見を開いて、シリア南部における「戦略的拠点の維持」の重要性を強調しました。
イスラエル過激派の主張にヨルダンが反応
イスラエルのエネルギー・インフラ大臣のエリ・コーエン氏は、イスラエル第14チャンネル「パレスチナ人の大多数はヨルダンにいるため、パレスチナ国家を樹立する必要はない」と主張しましたが、この発言に対しヨルダンが強く反発しました。
ヨルダン外務省はこの発言を「挑発的で、パレスチナ人の自決権を侵害するもの」だとして非難し、シオニスト政権を「国際的に拒絶された政権」と評しました。同省はまた、「イスラエルは過激な政策の続行により新たな危機を引き起こし、再三にわたり国際法に違反している」と強調しています。
ネタニヤフ首相、訪米を中止せず
米ニューヨーク市長からの最近の批判にもかかわらず、ネタニヤフ首相は米国訪問を一切変更なく実施すると発表しました。この報道によれば、今回の訪問の目的はアメリカとの戦略的関係の強化および米国高官との会談、地域情勢に関するイスラエルの立場表明だとされています。また、アナリストらは、ネタニヤフ首相が次期選挙を前にイスラエル占領地内での立場強化も狙っていると見ています。
エプスタイン論争が再燃:少女売春事件にモサドの影
そのほかの動向として、ネタニヤフ首相は「X」でアメリカの左翼雑誌「ジャコビン(Jacobin)」の記事を再投稿しました。この記事では、悪名高いアメリカ人金融家の故ジェフリー・エプスタイン氏が、イスラエルがエフード・バラク内閣時代にあった時期にモサドと協力していたと報じられています。
ネタニヤフ首相のこの行動は、広範囲にわたるメディアの反応を引き起こしました。その理由は、問題の記事の一部において、エプスタイン氏とモサドの関係に関する新たな証拠が提示されていたとともに、ネタニヤフ政権を「過激派で腐敗だらけ」と表現していたことによります。
こうした中、イスラエルの多言語紙タイムズ・オブ・イスラエルは、「ネタニヤフ首相が記事を再掲載した際に、自身の政治運営について『極めて極端で腐敗だらけ』と直接言及する部分があったことを認識していたかどうかは依然として不明である」と報じました。
専門家らは、ネタニヤフ首相がこの記事を再掲載することで、エプスタイン氏の漏洩したメッセージに名前が挙がっていた政敵のエフード・バラク氏に圧力をかける意図があった、とみています。

