トランプ大統領のベネズエラ政策をめぐり、米与党・共和党内に深い分裂
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アメリカの専門紙ポリティコが、トランプ米大統領の対ベネズエラ計画をめぐる与党・共和党員間の深い分裂について報じました。
(last modified 2025-12-15T08:47:37+00:00 )
12月 15, 2025 17:45 Asia/Tokyo
  • ドナルド・トランプ米大統領
    ドナルド・トランプ米大統領

アメリカの専門紙ポリティコが、トランプ米大統領の対ベネズエラ計画をめぐる与党・共和党員間の深い分裂について報じました。

ポリティコは「南米ベネズエラに米国が軍事介入する可能性が浮上したことで、共和党内の分裂が再び露呈した格好となっている。それは外国への介入を支持する強硬派と、そのような措置に反対する派閥との分裂である」と報じています。

【ParsToday国際】この亀裂は、トランプ陣営における外交政策上の同盟関係が極めて流動的で変化していることを物語っています。

一連の挑発行為の一方で、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領に対するトランプ大統領の脅迫は、リンゼイ・グラム米上院議員やマイク・ペンス元副大統領といった旧来的な介入主義者の支持を集めています。グラム議員は対ベネズエラ攻撃拡大を求めるとともに、ペンス氏に至ってはそれをさらに超える形で、マドゥロ大統領の解任・退陣を提案しています。この2人は以前からトランプ大統領の対外介入を支持しており、去る6月のシオニスト政権イスラエルによるイラン核施設への空爆にも同調していました。

同時に、マリア・エルビラ・サラザール下院議員、マリオ・ディアス・バラート下院議員、カルロス・ヒメネス州議会議員などフロリダ州南部の共和党員もマドゥロ大統領の解任を公然と支持しており、この姿勢は同地域のベネズエラ移民コミュニティにとってこの問題がいかに重要であるかを反映しています。

一方、トランプ氏の長年の盟友で元首席戦略官でもあるスティーブ・バノン氏や保守派政治コメンテーターのタッカー・カールソン氏といった「アメリカ第一主義」のナショナリスト、そしてランド・ポール上院議員のような介入反対派のリバタリアンは、そうしたアプローチに反対しています。こうした反対派は、このような動きが対イラン攻撃の際に彼らが抱いていた懸念と同様に、ベネズエラの政権交代を狙った多大な費用を伴う戦争にアメリカを巻き込む可能性があると考えています。

ここで興味深いのは、今回の反対派と支持派の構成が過去とは異なっていることです。対イラン攻撃を支持していた人物の中には、ベネズエラへの介入に反対する側に回った者もいます。例えば、以前はイラン問題でカールソン氏と対立していた急進極右の政治活動かローラ・ルーマー氏は、今ではカールソン氏に同調し、「マドゥロ氏を排除すればベネズエラの再建費用がアメリカの納税者の肩にのしかかり、中国の影響力拡大の隙を与えることになる」と警告しています。

トランプ政権のリチャード・グレネル大統領特使も反対派に加わっており、過去にイランに関しては攻撃を主張していたのが、ベネズエラに関しては外交的解決を強調しています。ベネズエラ政府はグレネル氏との接触を停止しているものの、グレネル氏は依然として平和的な合意の可能性を主張しています。

こうした反介入派は、「ベネズエラ危機の深刻化により米国への新たな移民の波が生じ、トランプ政権の厳格な政策の脆弱化をまねく」と懸念する一部の反移民活動家からも支持を集めています。米移民研究センターのマーク・クリコリアン所長は、「対外挑発はたいてい移民の波につながるため、意思決定においてはこの点を考慮すべきだ」と警告しています。

こうした顔ぶれの変化には、いくつかの理由があり、それらは

- ヒスパニック系有権者、特にフロリダ州のベネズエラ人にとって、この問題が重要であること

- ベネズエラは米国に地理的に近いため、より直接的な影響があること

- そして、イランとは異なり、この危機はシオニスト政権イスラエルへの支援という重大な問題とは結びついていないこと

となっています。

最後の点として、トランプ政権は表面上はあくまでも「麻薬密輸業者」との戦いが目標であり、マドゥロ政権を打倒する意図はないと主張していながら、同時に地域では軍事駐留を強化し、しかも舞台裏ではマドゥロ政権後の将来について議論していることが指摘できます。

このため、アメリカ共和党内のお家事情は依然として流動的で先行き不透明だと言えるでしょう。

 


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