イスラエルの危機 | 軍司令部の崩壊からネタニヤフ首相の政治ゲームまで
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シオニストが牛耳るイスラエル政権が今や、前代未聞の内部崩壊の危機に瀕しており、特に戦争大臣と合同参謀本部議長の間で権力闘争が激化していることから、深刻な人員危機による「軍の崩壊」への警告が強まっています。
(last modified 2025-12-08T17:36:19+00:00 )
12月 09, 2025 02:32 Asia/Tokyo
  • イスラエル政権中枢は政治的な宙ぶらりん状態に
    イスラエル政権中枢は政治的な宙ぶらりん状態に

シオニストが牛耳るイスラエル政権が今や、前代未聞の内部崩壊の危機に瀕しており、特に戦争大臣と合同参謀本部議長の間で権力闘争が激化していることから、深刻な人員危機による「軍の崩壊」への警告が強まっています。

イスラエル政権は今や、外界ではなく自らの統治機構の中枢で前例のない台風の目に直面しており、それは軍、政府、そして政治的正統性を同時に脅かす、多層的な危機といえるものです。ネタニヤフ・イスラエル現首相は、次期選挙の時期を操作し好戦的な姿勢を続けることで、自らの政治的生き残りを図り、政権全体をさらなる不安定化の渦に巻き込もうとしており、軍事危機は益々深刻化しています。

【ParsToday西アジア】この記事では、イスラエル政権という統治機構の中枢で深刻化する多層的な危機を深堀りしていきます。

軍司令部内での争い;囁かれる軍崩壊

イスラエル軍筋は、イスラエル・カッツ戦争相とエヤル・ザミール合同参謀本部議長の間で公然とした争いが勃発すれば「軍の崩壊」につながりかねない、と警告しています。深刻な人員不足に苦しむこの治安当局は、構造的崩壊の瀬戸際に立たされているのです。

イスラエルのテレビ局・I24は最近、「ザミール議長がカッツ戦争相を厳しく批判したことで、こうした緊張が最高潮に達した」と報じました。ザミール議長は「敗北を受け入れ、変革を主導する勇気ある統率者」を求めており、これはカッツ氏と政治指導部への直接的な批判と解釈されています。これに対し、カッツ大臣に近い筋は、ザミール議長が「一線を越え、政治指導部の権威を損なった」と断言し、情報隠蔽の可能性さえも示唆しました。

戦略上の見解対立:新たな好戦主義か、紛争の未然防止か?

イスラエルの新聞・マアリブは「危機はエスカレートしており、解決の兆しは見られない」と報じています。この対立の根底にあるのは戦略的な亀裂です。カッツ戦争大臣が新たな好戦的姿勢に傾倒している一方、軍司令官らは「政権を巻き込む可能性のある全ての戦争シナリオ阻止に向けて断固たる行動を取るべきだ」と考えています。この対立により、人員不足に「喘いでいる」(イスラエル第13チャンネルTVによれば)軍は今や崩壊の崖っぷちに追い込まれています。

生き残りをかけたネタニヤフ首相の駆け引きゲーム:選挙、戦争、そして汚職

この軍事危機の背後には、より深刻な政治危機が進行しています。ベンヤミン・ネタニヤフ首相は過去3年間にわたり、現在の政権を「政治的混乱」に陥れてきました。ネタニヤフ首相の指導の下、シオニスト政権は数々の戦争、占領地内での広範な抗議活動、そして前例のない政治的緊張に直面してきました。(法的には)2026年10月までに予定されている議会選挙は、ネタニヤフ首相にとって今や自らの生き残りをかけたゲームの戦場と化しています。

二重戦略:選挙の前倒しか延期か

ネタニヤフ首相は、2つの相反する戦略を用いて選挙の時期を操作したと非難されています。1つ目は、ネタニヤフ首相の恩赦を求めるドナルド・トランプ米大統領のような一時的な支持、あるいはサウジアラビアなどのアラブ諸国との関係正常化の進展を狙って、選挙を前倒し(おそらく2026年6月まで)することです。

第2に、安全保障上の口実により選挙を延期することが挙げられます。ガザ地区の戦争および、レバノンのイスラム抵抗組織ヒズボッラーとの緊張を「盾」として利用し、選挙を先延ばしに持ち込み、ネタニヤフ氏を主犯と断定する可能性のある「2023年10月7日の失敗に関する調査委員会」の設置を阻止することです。

この2つの戦略はいずれも、選挙での決定的な敗北からネタニヤフ氏を救うという同じ目標を追求しています。2025年12月の世論調査によれば、ネタニヤフ首相率いる右派連合はわずか51~52議席しか獲得できず、一方、ヤイール・ラピド氏とベニー・ガンツ氏が率いる野党は58~60議席を有しています。さらに、元米国大統領ビル・クリントン氏でさえも、「権力の座に留まるためにイランとの争いを引き起こしている」としてネタニヤフ氏を非難しました。

暗澹たる展望:市民の怒りと投票への期待

イスラエル人アナリストらは、過去3年間の出来事、治安の不備、無益な戦争、腐敗、そして現政権下での社会の分断が、社会に極度の怒り、不満、そして右派とネタニヤフ自身への失望を生み出していることを認めています。彼らの視点では、現状ではいつ選挙が行われてもネタニヤフが勝利する可能性はゼロと見られています。今回の選挙は「パラダイムシフト・価値観の転換」をもたらし、極右支配の終焉と穏健派政権への移行につながる可能性があります。

結論として、イスラエル政権は自ら作り出した危機の深い渦に巻き込まれていると言うべきでしょう。軍の指揮系統が個人的な見解対立と戦略上の食い違いにより内部崩壊の危機に瀕している一方、政治指導者は、自らの破滅を免れるため、体制全体をさらなる好戦主義と内部不安定化の泥沼に陥れようとしています。この悪循環は、シオニストが牛耳るこの政権の存在を前例のない脅威に直面させており、今回は占領地の外からだけでなく、安全保障と政治構造の奥深くから内的脅威が生じています。戦争と腐敗に疲弊した占領地の住民は、この悪循環を止められるかもしれないとの希望から、投票を待ち望んでいるのです。

 

 


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