イラクのISISの軍事面の終了、ISISのイデオロギーとの戦いの始まり
(last modified Mon, 10 Jul 2017 07:24:18 GMT )
7月 10, 2017 16:24 Asia/Tokyo
  • イラクのISISの軍事面の終了、ISISのイデオロギーとの戦いの始まり

イラクのアバディ首相が、9日日曜、イラク第二の都市であるモスルが、3年1ヶ月ぶりにテロ組織ISISの占領から完全に解放されたことを宣言しました。

イラク北部ニナワ州の州都であるモスルは、イラクのスンニー派居住区の重要な3つの州のひとつです。モスルは2014年6月にISISに占領されました。現在、この戦略的な都市の解放は、非常に重要な問題となっており、アラブの一部のメディアは、通常の番組を変更し、モスルの解放を宣言しました。

 

イラクのISISの消滅は、この国における大きな出来事のひとつです。これは、幾つかの点から転換点となります。一つ目は、イラクのシーア派最高権威のスィースターニー師による、ISISとの戦いのための国民の結束を求めた教令です。二つ目は、特にこの1年、イラクの各グループが政治的な対立を脇に追いやったことです。これにより、アバディ政権は、ISISとの戦いを優先事項に据えることになりました。三つ目は、イラクにおけるISISとの戦いへの地域や世界の支援です。明らかに、イラクのISISとの戦いの最大の支援者はイランでした。イラクイスラム最高評議会の政治顧問のモフセンハキーム師は次のように語っています。

 

「イラクのISISの消滅につながった3つの要素は、他の要素以上に重要であった。スィースターニー師の教令、イラクの若者や国民のISISとの戦いに向けた結束、そしてイランの重要な支援である」

 

また、モスルの解放は、イラクの一部地域におけるISISの統治の終結を意味するものであるとはいえ、ISISはこの3年、一部の地域で、国民的なアイデンティティや文化にも影響力を及ぼしてきました。そのため、イラクの中央政府は、今後も多くの混乱を目にすることになるでしょう。ダーナーイー・元イラク駐在イラン大使は次のように語っています。

「軍事的なISISは終了し、安全保障上のISISも終了したが、思想的なISISは今後も続いていく可能性がある」

 

国際関係の専門家である八ッラーズィー氏は次のように語っています。

 

「ISISが、ひとつの文化やイデオロギーになったという脅威も考慮すべきである。抵抗の流れが続かなければ、ISISは再び地域を混乱に陥れる可能性がある」

 

いずれにせよ、モスルの解放は大きな成果であり、現在、それを維持することの方が、その実現よりもはるかに困難なことだと言えるでしょう。

 

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