視点;イラク民兵組織拠点を空爆した米国 それへのイラク市民の反応
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在イラク米大使館前で抗議する人々
イラク市民が、同国の民兵組織ハシャド・アルシャビの拠点を空爆した米軍の攻撃に反発し、バグダッドにある米大使館前で大規模な抗議集会を開催、大使館の複数の入り口に放火しました。
米国は先月29日夜、イラク西部にある民兵組織ハシャド・アルシャビの拠点を無人機で空爆し、これにより80人を超える殉教者、負傷者が出ました。イラク国民は31日火曜、米大使館前に集結し、米軍のイラク撤退を求めています。
米国の今回の攻撃に対するイラク市民の反応は、以下に列挙するいくつかの重要なメッセージを含んでいます。
第1のメッセージは、イラクに対する外国の攻撃がどのようなものであれ、同国の各政治団体や国民の団結のカンフル剤となることです。過去2日間において、イラク市民が在バグダッド米大使館前に集結し、大使館の敷地内に乱入し、イラクの複数の政治団体や要人らの多くも米軍のイラク撤退を要求しています。
第2のメッセージは、イラク国内において反米感情が非常に高まっているということです。駐イラク米大使館は、市内で特に厳重な保安・警備体制が敷かれているにもかかわらず、抗議者の襲撃を受けました。イラク市民の怒りは尋常ではなく前代未聞の規模のものといえますが、それは大使館のコンクリート製の入り口のいくつかが破壊され、監視塔が火災で焼けたほか、複数の防犯カメラも破壊され、敷地内に投石され、また大使館の外壁の一部までもが焼け焦げたことからも十分に見て取れます。米国に対するイラク市民のこの規模の憤慨ぶりに、同大使館の職員や保安・警備員らは恐怖におののいています。
第3のメッセージとして、民兵組織ハシャド・アルシャビに対抗する米国と同盟国の大規模かつ否定的なプロパガンダ作戦が功を奏さなかったことが指摘できます。米大使館前に群集が集結し、放火したことは、この民兵組織の擁護・防衛が目的でした。このことは、イラク市民がハシャド・アルシャビの組織としての機能を肯定的に評価しており、外国のあらゆる侵略行為からこの組織を擁護していることがうかがえます。
第4のメッセージは、米国のイラク侵略に対する反応が、必ずしもミサイルによるものではなく、今回のような市民レベルの抗議が最終的に米軍の撤退およびイラク国内での米兵の死傷につながりうるということを、米国はまざまざと思い知らされた、ということです。イラク市民が恒常的に反米集会・行動に出ていることから、イラク議会が米軍撤退期限設定法案の可決の迅速化を迫られる可能性が出てきます。
これらのメッセージに加えて、今回の米国の攻撃に対するイラク市民の反応は、米国に甚大な精神的プレッシャーをかけています。
イラク問題の専門家であるセイエド・レザー・ガズヴィーニーガラーヴィー氏は、「多数の抗議者が駐イラク米大使館を襲撃し、その前にテントを張って周辺のスペースを占拠し、イラク国旗とハシャド・アルシャビ所属のヒズボッラー部隊の旗を掲げたことは、ミサイルなどの軍事手段による報復よりもはるかに大きな精神的圧迫感を与えるものだ。これはこの行動の企画者の賢明さを物語っている」と語りました。
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