米が、ギルガメシュ叙事詩の粘土板をイラクに返還
30年前に盗まれ米国に密輸された「ギルガメシュ叙事詩」を記した3500年前の粘土板が、イラクに返還されました。
フランス通信が24日金曜、報じたところによりますと、同日米首都ワシントンで行われた式典で粘土板を受け取ったイラクのハッサン・ナディム文化相は、これについて、「私にとって、イラク社会の誇りと自信を取り戻すことを意味する」とコメントしています。
ギルガメシュ叙事詩は、古代メソポタミアの王ギルガメシュが不死を求めて放浪する物語で、世界最古の文学作品の一つとされています。
今回返還された楔形文字による粘土板は、小さいながらもその文化的・歴史的価値は極めて高く評価されており、湾岸戦争が起こった1991年にイラクの博物館から盗まれた、と考えられています。
今回の返還に際して国連教育科学文化機関・ユネスコのオードレ・アズレ事務局長は、ギルガメシュ叙事詩は「人類共通の宝」だとし、粘土板が本来あるべき場所に帰ることは「遺産の破壊者に対する国際社会の大きな勝利だ」と語りました。
ケネス・ポライト米司法省刑事局長によりますと、2001年に英国で発見され、その後はロンドン在住のヨルダン人一族から米国に密輸され、さらに古美術商に売却されたとされ、その後2014年には、ハンドメイド用品チェーン「ホビーロビー」のオーナー一家で、キリスト教原理主義者のグリーン家に167万ドル(約1億8400万円)で買い取られましたが、2017年に博物館の学芸員が鑑定書の不備に気付き、19年に押収されていました。
イラクでは、数十年にわたり歴史的文化財が略奪されており、米国は今夏、約1万7000点の文化財をイラクに返還しています。
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