視点
シリアにおける米軍の戦争犯罪の暴露
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米軍によるシリアでの空爆
米紙ニューヨークタイムズが報告の中で、「米軍がいわゆるテロ組織ISISとの戦いを大義名分としたシリアでの空爆において、数十人の女性や子どもを殺害するという戦争犯罪を引き起こした」ことを暴露しました。
米軍はこれまで、女性や子ども64名を死に至らせた2019年のシリア空爆の事実を隠蔽してきたことになります。
米空軍は2019年3月18日、ISISがシリア最後の拠点とするシリア東部の村バグズ(Baghouz)付近に対し、続けざまに2回の空爆を実施しました。当時作戦部隊にいた空軍のある弁護士は、この攻撃は戦争犯罪に相当する可能性があると考え、その後米国防総省の総査察官や米上院軍事委員会に対し警告していました。しかし、これに関する措置は全く講じられませんでした。米国防総省総査察官は、この日の出来事に関する調査を開始しましたが、最終的には報告書の中でこの空爆に関しては触れず、またこれに関する独立した完全な調査も行われませんでした。結局、米軍はこの問題を忘却した形となりました。
現在、ニューヨークタイムズの記事により、シリアでの米軍による犯罪の新たな事例が暴露されたことで、シリアにおける米の対ISIS戦争と銘打った作戦の、これまで語られなかった新たな側面が白日のもとにさらされたことになります。
アメリカ主導の対ISIS国際有志連合軍は、2014年からISISというタクフィール主義テロ組織との戦いを口実に結成され、戦いの本場であるシリアの政府の許可を得ずに、同国での自らの作戦を開始しました。この連合軍は、シリア民間人に対する多数回の攻撃を実施しており、それにより彼らのうちの多数が死傷しています。国連は数回にわたる報告において、シリアでの対ISIS国際有志連合軍の攻撃が戦争犯罪に相当すると発表しました。
シリア人作家Ghassan Ramadan Yousef氏は、シリアにおけるアメリカの戦争犯罪を指摘するとともに、国際法の専門家らの見解を論拠として「シリアでの米の行動は戦争犯罪であり、さらには人道に対する犯罪のレベルに相当する」と語っています。
現在疑問となっているのは、空爆作戦での民衆の殺害が戦争犯罪となるなら、アメリカは複数回にわたる爆撃でのシリア民衆の殺害の理由として、なぜ説得性のある釈明を行わないばかりか、事実上この問題を無視し、これを副次的な被害として片付けているのか、ということです。
現在入手できる証拠資料を解析すると、多くの場合、米軍機は、空爆による民間人の死傷者を最小限に抑えるために必要な予防措置を怠っていたことがわかります。実際、これらの空爆の多くは不釣り合いで、過度に激しい攻撃、または目的のない攻撃だったのです。どうやら、米国とその同盟国にとって唯一重要でなかったのは、空爆で死傷した無実の人々の生命だったようです。これは戦争犯罪の明確な例に他なりません。シリア政府は、同国での米国の犯罪を終わらせるよう国連と安保理に繰り返し呼びかけています。基本的に、対ISIS国際連合軍という形での米国とその同盟国のシリア軍事介入は、民間人の殺害につながり、シリア国民の苦しみを増大させただけに終わったといえます。
ニューヨークタイムズによる最近の報告は、シリアの一部を不法に占領し続ける米軍が、非人道的な行為と戦争犯罪を繰り返していることを強調しているのです。
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