視点
米空軍の攻撃による民間人殺害の新側面の発覚
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米空軍の攻撃
米紙ニューヨークタイムズが、最近の米国防総省の文書から、西アジアでの米国の空爆は「非常に不正確な情報」にもとづいて行われており、子供を含む数千人の民間人の死をもたらしたと報じました。
ニューヨークタイムズによりますと、民間人犠牲者に関する1300件以上の報告文書により、誘導爆弾で行われた空爆に関するアメリカ政府の説明が揺らぐことになりました。
登録された文書には、過失の報告や懲戒処分の痕跡はひとつもありません。米軍は5年間にわたりアフガニスタン、イラク、シリアで5万回以上の空爆を実施しましたが、それらは公に主張されていたものよりもはるかに正確性に欠けるものでした。
ニューヨークタイムズの新たな報告は西アジア地域、特にシリア、アフガン、イラクにおける米国の戦争犯罪の新側面を明らかにしています。複数の調査によりますと、米国の空爆による民間人の死傷者数は「実際よりも非常に少なく計上されている」とされ、実際は報告されている数よりも少なくとも数百人は多いとされています。
その中で言及された事例の中には、2016年7月19日に行われたシリア北部のテロ組織ISISの拠点と見なされていた場所に対する作戦がありました。初期段階の報告によりますと、この爆撃で85人のISISのメンバーが殺害されたと言われていました。しかし実際に命を落としたのは村民120人だったということです。
この事例が明白に示しているのは、米軍は標的を正確に見極め、それらを特定し攻撃することに注意を払ったと主張しているものの、現実にはこれらの国の人々を人間としてではなく、生死が重要ではない動物のようにみなしていたことであり、それゆえ、民間人や無実の人々が空爆の標的にされたことが明らかになった後も、攻撃の主犯者を処罰する具体的かつ効果的な処遇や措置を講じなかったのです。
現存する資料や証拠を分析していくと、アメリカは多くの場合、特に無人機攻撃での空爆作戦において、民間人の死傷者を最小限に抑えるために必要な予防措置を怠っていたことが分かります。2021年8月29日にアフガンで行われた米軍による最近の無人機攻撃では、首都カーブルで7人の子供を含む10人が死亡しました。この事件の後、米軍はこの攻撃の犠牲者が民間人であった事実を認める旨を表明しています。実際、これらの空爆の多くは状況や標的の対象にはそぐわない不釣合いなもので、過度に激しい、また無目的な攻撃でした。
国連のアジア人権部パトリシア・ガスマン代表は、「米国はアフガンでの空爆における民間人の殺害を適切に調査しておらず、説明責任を回避している」と語っています。
どうやら、アメリカにとっては、自らの空爆で死傷した無辜の人々の生命だけが唯一、重要ではないようです。しかし、これは歴然とした戦争犯罪の実例にほかなりません。
ここで、次のような疑問が浮上してきます。それは、空爆による民間人殺害が戦争犯罪であるなら、なぜ米国防総省はシリア、アフガン、イラクの人々が複数の爆撃で殺された理由について納得のいく説明をしなかったのみならず、事実上それを黙殺し、付随的な問題として片付けたのか、ということです。
しかも興味深いことに、米軍幹部や米国防総省は、これらの戦争犯罪を迅速かつ正確に特定できないという口実の下で、これらの戦争犯罪の正当化だけを狙っています。したがって、米国は、目的のない不正確な空爆犠牲者の遺族に対する謝罪や補償ではなく、単に自らを正当化し、言い逃れしようとしているだけなのです。
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