ゼレンスキー氏訪米、武器支援では米と温度差
アメリカを訪問したウクライナのゼレンスキー大統領は21日、バイデン大統領の会談や議会での演説を行いました。表向きは両国の結束を演出した訪米でしたが、武器支援をめぐっては温度差も見られます。
ゼレンスキー・バイデン両首脳は21日午後、ホワイトハウスでの会談後、共同記者会見を開きました。
ブルームバーグによりますと、会談で長距離地対空ミサイル「パトリオット」の供与を表明したバイデン大統領は、この会見で「米国は必要な限りウクライナに寄り添う」と引き続きウクライナ支援を継続する姿勢を示しました。
しかし、ウクライナ側が求める兵器すべてを提供することについては、「既に渡したのとは根本的に異なるものをウクライナに供与すれば、NATOEU、そして世界の他の部分を分断する可能性がある」として、消極的な考えを示しました。
また、米陸軍戦術ミサイルシステム(ATACMS)をなぜ供与しないのかとの質問には、「我々はウクライナが自国を防衛し戦場で成果を収められるようにする上で必要なものを供与する」とだけ述べ、明言を避けました。
これに対しゼレンスキー氏は、「米国は我々の価値と独立を守るために支援してくれるだろう」と述べ、今後も変わらぬ武器支援を求めました。また、先月の議会中間選挙で野党・共和党が下院で過半数を奪還したことを念頭に「議会が変化しても超党派で上下両院の支援を得られると信じている」と述べました。
ゼレンスキー氏のこの発言は、共和党内を中心にウクライナ支援への懐疑論が出ていることが背景にあります。
米共和党下院トップのマッカーシー下院院内総務は10月、国内景気が後退局面にあることを理由に、中間選挙で共和党が多数派となった場合にウクライナ支援を縮小する考えを示しています。
実際、中間選挙で共和党は下院で多数派を奪還したため、今後こうした意見が勢いづく可能性があります。
また10月には民主党内からも、左派の下院議員30人がバイデン大統領に対して公開書簡を送り、ウクライナへの軍事支援を修正し、ロシアとの対話に舵を切るよう求めました。
この書簡は批判をうけ後に撤回されましたが、ウクライナ支援をめぐって与党も意見が分裂していることを露わにしました。
ゼレンスキー氏はこの日、米議会の上下両院合同会議でも演説し、「あなた方の支援は極めて重要だ。あなた方の資金は慈善事業ではなく、世界の安全保障への投資だ」と訴えました。
しかし、ウクライナ支援をめぐって一枚岩ではないことを露呈した米政治の先行きは見通せず、ゼレンスキー氏にとっては気を揉む状況が続きそうです。


