ブラジル大統領、対アルゼンチン貿易促進で「共通通貨」構想を提案
ブラジルのルラ大統領が、アルゼンチンとの「共通通貨」構想を提案しました。
ロイター通信が、アルゼンチン・ブエノスアイレスから報じたところによりますと、ルラ大統領は23日月曜、就任後初の外遊先となったアルゼンチンで、二国間貿易促進のためにドル以外に「共有可能な決済手段」の構築について両国が話し合いを始めたと明らかにしました。
ルラ氏はアルゼンチンのフェルナンデス大統領と並んで会見し、「双方の財務省と経済チームは共通の通貨で両国間の貿易や取引を行えるような提案をすることができる」と発言しました。
ただ、両国がそれぞれレアルとペソという既存の通貨を廃止することは意図していないということです。
フェルナンデス氏は、この提案にどのような事象が関係してくるかはまだほとんど決まっていない、とくぎを刺しました。
ブラジルのアダジ財務相も、完全な通貨統合につながることを否定し、現時点での議論の主眼は、いかにアルゼンチンにドル準備を使わせずにブラジルの輸出品を買ってもらえるかに置かれていると説明しました。
こうした背景には、アルゼンチンが抱える深刻な外貨不足問題があります。アダジ氏はアルゼンチンに到着した22日日曜夜、「(両国間の)貿易はまったく振るわない。問題はまさに外貨にあるのは間違いないだろう。だからわれわれは、商業を発展させてくれるような共通の解決策を探ろうとしている」と語っていました。
また、貿易決済の共通手段は開発可能だろうが、「幅広く流通する統合通貨」という考えは一蹴しています。
世界ではこのほかの地域でも、すでに通商取引の際に自国通貨など米ドル以外の通貨で決済するケースが増えてきており、今回のルラ氏の提案が今後国際通商でのドル決済脱却にどう影響するかが注目されます。