視点
2024年米大統領選挙でバイデン氏が抱える問題
様々な憶測の末、ようやくバイデン米大統領が2024年の同国大統領選挙への出馬の意向を正式に表明しました。
バイデン氏は公開した動画において有権者らに対し、自らが大統領就任時に約束した「仕事を果たす」ためにより多くの時間を与えるとともに、このアメリカ史上最年長の大統領の任期をさらに4年間延長することへの懸念を払拭するよう求めています。
民主党候補としてのバイデン氏の次期米大統領選挙への再出馬を支持するアメリカ国民は、わずか26%に留まっています。
一方で、今回の選挙ではかなり高い確率でトランプ前大統領がバイデン氏の主要な対抗馬になると見られています。トランプ氏はかなり前から大統領選挙への出馬を表明しており、米国内の状況改善をも約束しています。
来年のアメリカ大統領選は、非常に多くの問題をはらんだものとなるだろうとされています。反バイデン派が強調している点として、物価高騰、ウクライナ戦争の結果とこの戦争への米国の参戦、米国内の緊張の高まり、アフガニスタンからの米軍の突然の撤退がありますが、彼らは次期大統領選へのバイデン氏の出馬を認めたくないのです。
一方で、数ヶ月前からバイデン氏は自らの精神状態を理由に、多くの米国民から非難の矢面に立たされています。
野党・共和党のティム・スコット上院議員(57歳・南部サウスカロライナ州選出)はこれに関して、「経済面でのバイデン氏の政権運営は、アメリカ人の家庭経済の未来を破壊している」と警告しています。
しかし、その一方でバイデン支持派は現政権の成果に目を向けています。彼らから見て、バイデン政権の大きな成果の1つは、広範なコロナワクチン接種の実施であり、このことが最終的にコロナ感染とそれによる死亡者数の大幅な減少、アメリカ経済の相対的な回復、そして国内での失業率の急速な低下につながったと考えています。
さらに、バイデン政権は、コロナ対策として経済・生活支援に数兆ドルを投入するという形で、社会的弱者の支持を得て中産階級の低所得者や貧困層の大多数の間で支持率を高めています。
しかし、 一部の世論調査が示すところでは、アメリカの有権者の多くは、選挙でバイデン氏とトランプ氏が再びあい争うことを望んでいません。ヤフーニュースが行った最新の世論調査では、アメリカの有権者は、2024年の選挙で両者が再び争う可能性にはことごとく無関心です。
トランプ氏は今度の選挙戦への出馬表明と同時に、ポルノ女優との不倫関係をめぐって2016年の大統領選挙前に13万ドルの口止め料を支払った事実を隠蔽したとして起訴されています。
東部バーモント州の無所属のバーニー・サンダース上院議員はこの問題について、「アメリカが最後に必要としているのは、アメリカの民主主義の弱体化、または女性の参政権の剥奪を狙い、あるいは銃暴力の危機や人種差別・性差別に取り組もうとしないドナルド・トランプ氏、または別の右翼的な大衆扇動者だ」と述べています。
いずれにせよ、2024年のアメリカ大統領選挙は、多くの経済・政治的課題をはらんだものとなりそうです。2020年の米国大統領選挙の結果発表後に発生した暴力事件は、今回も繰り返されるか、さらに激化する可能性さえあるのです。