フランス市民の怒り爆発、警官による未成年者射殺で
フランス国内各地で、警察による17歳の少年の殺害を受けて市民らが街頭に繰り出し抗議行動を開始しました。こうした抗議活動は今も続いており、フランス当局は捜査・追跡を約束しました。
被害者となったこの少年は、フランスパリ西部郊外ナンテールで警察に射殺されました。
少年はアルジェリア系で、レストランの配達員として働いていました。
SNS上に公表された動画には、この車のそばにいた2人の警官のうち1人が、車が立ち去った後に発砲する様子が映されています。これにより、車を運転していた青年が負傷し病院に運ばれましたが、その後死亡しました。
フランスのSNSユーザーの一部は、この銃撃を野外処刑だと評しました。しかし、警察側はこの少年が警察官を轢こうとしていたと主張しています。その一方で、公開された事件の動画は警察の見解とは逆に、車が発進する前に警察官らが少年の頭に武器を向けていた様子を示しています。
この警察の行動を受けて、フランスの複数都市で抗議活動が始まり、多くのフランス市民街頭に繰り出して警察の行き過ぎた暴力に対する抗議の意を表明しています。しかし、抗議者の集まりは暴動や騒乱に発展し、フィガロ紙などフランスのメディアは、憤激した市民らがゴミ箱や車、小学校に放火し、また救急医療機関に大量の発火剤が投げ込まれて放火されたと報じました。さらに、北西部イヴリーヌ県マント・ラ・ジョリーでは町役場の建物が放火されました。
警察はデモ参加者を攻撃し、一部の地域では警察は催涙ガスやプラスチック弾を使用しました。
抗議が激化する中、フランスのマクロン大統領はこの少年の死亡に反応し、少年の死亡と警察の残虐行為に対する抗議行動を招いた警察の銃撃は「不当だ」とし、この行為は正当化できないものだと強調しました。また、これは赦されないことであるとし、近く正義が実現するよう希望すると表明しています。
国内で抗議活動が続く中、フランスのダルマナ内務大臣は、パリとその郊外の暴動を鎮圧するために2,000人の警察を配備したと発表しました。
ダルマナン大臣は、「これまでに抗議活動に関連して31人が逮捕されたほか、警察官25人が負傷し、車両40台が放火されたことを明らかにしました。
パリ・サンジェルマンのスターサッカー選手、キリアン・エムバペ氏もこの事件に反応し、ツイートを投稿してこの少年の遺族に同情するとともに、ここ数年で何度も厳しく批判されてきたフランス警察の行動を批判しました。そして、「私はわが国フランスが気の毒で仕方がない。これは容認できない事態だ。私の心は、ナエル・Mさんの家族や彼の愛する人々とともにある」とのコメントを発表しました