国連が、旧植民地宗主国による賠償金支払いを強調
国連のグテーレス事務総長は、世界の大国は過去の植民地支配や奴隷制の賠償金を支払わなければならないと強調しました。
過去の植民地支配をめぐる賠償は、長年にわたり提起されている問題ですが、近年、アフリカ諸国やカリブ海諸国などから賠償金支払いを求める声が高まっているほか、同様の動きが世界各地で勢いを見せています。
ロシア・トゥデイによりますと、国連のグテーレス事務総長は19日に公表した報告の中で、「歴史上の過ちによる経済的損失や植民地支配・奴隷制による被害の算出は、長い年月が経ち、加害者や被害者を特定することが難しくなっていることから、極めて厳しい状況にある」としました。
その上で各国に、奴隷制を続けてきた影響について調査するとした約束を守るよう求めました。
グテーレス氏はまた、「過去の行為について包括的に責任を果たしている国は、いまだかつてない。アフリカで2500~3000万人の難民が発生している問題の中にある、(そのような行為により)現代に残された遺産については、調査されていない」としました。
そして、世界の大国に、奴隷制や植民地支配の負の遺産問題の解決策の一環として、明確な謝罪、医療・精神的ケア、再発防止の保証などの新たな対応をとるよう提案しました。
欧州では今年7月、オランダ国王が過去に欧州が行っていた奴隷貿易について「筆舌に尽くしがたい苦痛」を数百万の人々に与えたと謝罪しましたが、補償の約束はしませんでした。
グテーレス事務総長は最後に、「賠償金支払いの最も大きく阻んでいるのはおそらく、それを進めるだけの政治的意志や道徳的勇敢さを持ち合わせていないという、加害者側の状態だろう」と結論づけました。