12月 14, 2023 16:28 Asia/Tokyo
  • 平和賞の目的から逸脱するノーベル委員会
    平和賞の目的から逸脱するノーベル委員会

ナルゲス・モハンマディー氏へのノーベル平和賞授与式が10日日曜、ノルウェーの首都オスロで行われましたが、本質よりも無関係の付与部分の肥大が目に付く結果となりました。

ノーベル委員会は、今年の平和賞イランのナルゲス・モハンマディー氏に授与しました。

ナルゲス・モハンマディー氏は、2009年にイラン国内で起きた騒乱の際、弁護士シーリーン・エバーディー氏が率いる団体「人権擁護センター」で人道やイラン国民の利益に反する活動を行ったことを理由に、まず出国を禁止され、2010年には逮捕・収監されました。

同氏はその後釈放されたものの、2021年に再度、イラン体制に対するプロパガンダ活動、刑務所職員らの指示に従わず所内の窓ガラスを割る、誹謗中傷行為などで有罪判決を受けて収監されました。

このような背景があるにもかかわらず、ノーベル委員会が、一国の法律に則り犯罪者として有罪が確定し、刑の執行中である人物に対し、平和賞の授与を決めたことは、人権という概念を政治化させ他国へ内政干渉を行う行為以外の何物でもありません。

ノーベル平和賞の授与式においても、主催者と招待客らは「平和に関する行動」よりも「分離主義的行動」に注力し、本質よりも無関係の付与部分が肥大していました。

ノルウェーで開催された今回の平和賞授与式には、分離主義のテロ組織 「コマラ(Komala)」の指導者も招待されていました。コマラ指導者は、イランからコルデスターン地域の分離を企む、民間人への化学爆弾攻撃などを行ったイラクの旧バース党政権に協力する、2010年にイラン西部マハーバードで無実の人々を殺害する、2022年に様々な暴動を指揮するなどの黒い経歴があり、そのような人物を列席させたことは、授与式で見られた奇妙な事柄の一つに挙げられます。

在ノルウェー・イラン大使館は、今回のノーベル平和賞授与式に合わせて発表した声明において、「ノーベル委員会による、イランを敵視する偏向的な政治パフォーマンスは、彼らが平和や人権などの価値ある概念を、自らの政治的目的や他国に圧力をかけるために道具として利用していることを示すものである」としました。

声明はさらに、「ノーベル委員会は過去にも、(シオニスト政権イスラエルの元首相・大統領で)圧政にさらされた無実のパレスチナ人数千人の殺害の責任者である、メナヘム・ベギン氏、イツハク・ラビン氏、シモン・ペレス氏などの犯罪者に平和賞を授与しており、その政治的な本性はすでに証明されている。ノーベル平和賞がこの先、(現在パレスチナ・ガザで民間人の殺戮を行うシオニスト政権イスラエル現首相)ネタニヤフ氏のような別の犯罪者に授与されることも、十分ありえるだろう」と続けました。

そして、「今回の授与式は、世界がシオニスト政権イスラエルによりガザのパレスチナ人1万8000人以上が殺される様子を目の当たりにしているにもかかわらず、『人権擁護』を主張する国々がこのような犯罪に沈黙もしくは消極的に対応し、さらには子どもたちを殺害する同政権に対し『自衛権』なるものを権利として認める中で開催された。この状況は、彼らが人権と平和に対して偽善やダブルスタンダードで対応していることを、明白に示している」と指摘しました。

 


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