パレスチナめぐる世論操作に資金を投じる米億万長者
米国の億万長者らが、イスラエルによるガザ攻撃をめぐる世論形成のためにメッセージアプリでグループを作り、ニューヨーク市長にコロンビア大学でのパレスチナ支持デモを解散させるため警察を使うよう要請していたことが判明しました。
これはワシントン・ポスト紙が最近報じたもので、米国の億万長者らがメッセージアプリ「WhatsApp」でグループを作り、ガザ情勢に関する世論操作を企図していたということです。
このグループは昨年10月12日に作られ、スターバックスのハワード・シュルツCEO、コンピューター大手・デルのマイケル・デルCEO、トランプ前米大統領の娘婿であるジャレッド・クシュナー氏などが名を連ねていました。
この報道で懸念されるのは、グループのメンバーがニューヨークのアダムス市長に対して、コロンビア大学で起きているパレスチナ支持デモを排除するため警察を使うようはたらきかけていたことです。これは、民主主義社会にとって不可欠な学生による自由な抗議運動を弾圧するものです。
メンバーはほかにも、警察を支援するため私的な専門家を雇うことも提案していました。これは資金力にまかせて抗議運動を弾圧する動きと言えます。
このグループは「イスラエルに関する動き」という名称で、100人以上のメンバーが参加していました。
ワシントン・ポストによると、このグループには米不動産王であるバリー・スターンリヒト氏も別の人物を介する形で関与していました。
この人物は昨年10月、このグループの役割として、「米国世論におけるイスラエルの勝利に貢献すること」と語っていました。
ワシントン・ポストによれば、このグループの参加者のうち12名がフォーブス誌の億万長者リストに名前が載るような人物だということです。
さらに、ガザ戦争が始まって以降、グループの複数のメンバーがイスラエルのベネット前首相やガンツ前戦争相、ヘルツォグ駐米大使らと私的な会合を持っていたとも報じられています。
このグループはメディア対策にも力を入れており、イスラエル軍が作成した昨年10月7日のハマスによる攻撃に関する動画の公開に関与したほか、昨年11月には上記のスターンリヒト氏がメディア対策に5000万ドルを寄付したとされています。
こうした活動が学生らのパレスチナ支持運動にもたらした影響については、詳細に検討する必要があります。今回報じられた一件は、米国の億万長者による資金が政治・社会にどのように影響を及ぼすか、そしてその影響が社会の自由や公正さにどう作用するかを示しています。
そして、資金力にものを言わせたやり方を阻止する必要性があることも示しています。
出典:US billionaires joined Whatsapp group to 'change Israel narrative'. 2024. . Middle East Eye.Business titans privately urged NYC mayor to use police on Columbia protesters, chats show. 2024. The Washington Post.