第2次冷戦、西側覇権の凋落とアジア諸国の台頭
第2次冷戦の最中で、世界的覇権という理念が自ずから非合法なものになりつつあります。
イギリスの著名な国際関係理論家バリー・ブザン氏は、『A new cold war? The case for a general concept』という著作において、「現在我々は第2次冷戦状態にある」と論証しています。パールストゥデイによりますと、ブザン氏の視点から見て第2次冷戦には多くの変化があり、その規模・側面が明らかになりつつあるということです。
第2次冷戦の開戦
第2次冷戦の始まりは2020年、つまり中国が香港の二つの体制を打倒して西側世論に衝撃を与えた時期に関係している可能性があります。この出来事により、多くの西側世論は中国を一大脅威とみなすアメリカ志向に同調し始めました。この変化は、ロシアがウクライナ国境地域の併合を試みた2022年にさらに強まりました。
戦争の危惧のない第2次冷戦
第2次冷戦では、第1次冷戦に比べて核戦争への日常的な恐れは極めて少なくなっています。ただし、超音波送達システムや飛来ミサイルに対する防御の向上など、新たな技術革新はあるものと見られます。加えて、人工知能の向上も指揮・統制機能やサイバー攻撃に対するそれらの脆弱性の両方に影響を与えると思われます。そしてもちろん、核拡散への懸念は今後も問題として残るでしょう。
世界的覇権の違法性
第2次冷戦時代には、いずれの世界覇権という構想自体が違法なものとなります。西側諸国は、もはや自分たちに未来はなく、自分たちのビジョンを強制する権利も権力もないことを受け入れなければならないのです。現在、西側と日本における第1次創出者を超えて富、権力、文化・政治的権力の拡散によって拡大しつつある構造は、深い多元主義と呼ぶことができます。より多極化した世界を長年求めてきたこれらの大国(特に中国、フランス、インド、イラン、ロシア)は、自らの願望を実現しつつあるようです。また、誰もアメリカの立ち位置に足を踏み入れることを望んでいません。
重要かつ本格的な範疇としての文化
文化主義は第2次冷戦の際立った特徴となるかもしれません。この観点から、欧米諸国は共に、または別々に地域文化主義への動きに加わる可能性があります。グローバル化からのこうしたアイデンティティの乖離は、うまく管理されなければ第2次冷戦での紛争を煽る可能性があります。もしもうまく行きとどけば、文化的差異の権利に関する主張は、統治に関して行われた方法と同様に、そのような権利の相互受容により共存につながる可能性があります。
代理戦争第2次冷戦では、準代理戦争は依然として大国同士の直接交戦を防いでいますが、代理戦争よりも危険なものです。そうした戦争により冷戦及び、武器を取っての戦争との区別が曖昧になっていきます。
力の分配
勢力ブロック圏内およびブロック間では、異なる勢力配分が存在します。中国、インド、そしてイランのような諸国は、第1次冷戦よりも第2次冷戦の方ではるかに強力な存在となっています。ロシアとアメリカはそれほど力がありません。旧ソ連の植民地を吸収したことにより、ヨーロッパは目覚ましく拡大しましたが、おそらくその相対的な力はそれほど変わっていないと思われます。米国は、民主主義という側面では明らかに指導者としては色あせ、2024年にドナルド・トランプ氏のような大統領を選出したなら、その役割から益々遠ざかる可能性があります。