世界における米ドル排除加速;米の最重要兵器としてのドル
(last modified Sun, 14 Jul 2024 10:42:18 GMT )
7月 14, 2024 19:42 Asia/Tokyo
  • 世界における米ドル排除加速
    世界における米ドル排除加速

米国の一極主義政策に対処する各国の努力を受けて、イランとロシアの取引からドルが排除されました。ガーリーバーフ・イラン国会議長は、自国とロシアの間のすべての取引がドル建てでなく行われるという事実に言及し、「通商取引からのドル排除の理由は、米の一極主義的政策に対抗するためである」と強調しました。

国際貿易におけるドル廃止政策は近年、世界の多くの諸国、特に米国の厳しい金融制裁を受けている国々が視野に入れています。パールストゥデイによりますと、この件については、世界の各国や様々な地域がまず二国間取引で、そしてより広範なレベルでの他通貨の使用を検討しています。言い換えれば、米国が金融面での武器としてドルを使用することで、より多くの国がドル排除政策に加わり、その結果として、代替通貨への投資が多様化することとなったのです。特に、ウクライナ戦争勃発後の米国の対ロシア制裁の後では、より多くの国の間で、対ドル依存を減らす動きが加速しています。

 

ドル建て排除における協力に向けた様々な経済グループの結成

各国間の地域協力の加速・強化および、ドル排除政策の推進を目的として近年、多くの労働組合や経済団体が結成され、通商取引における代替通貨の使用に努めてきました。このような動きを見せている例としては、すべての金融および商業取引からの米ドル排除を基本としているEEUユーラシア経済連合の加盟国を挙げることができます。BRICS新興経済国グループの加盟国も、通商取引からのドル建て廃止に向けてこの重要事項を追求しています。この経済グループ設立の最も重要な目的の一つは、通商取引でドルに代わる政策を追求することです。公表された統計によりますと、現在ロシアと中国は経済交流の約70%を自国通貨で行っています。また、南米ではブラジルが脱ドル化運動を追求しており、そしてもう一つのBRICS加盟国である南アフリカは、アフリカ地域において積極的にそのような視点を追求・推進しています。そして、ロシアとイランも貿易面でドルを排除しました。

 

国際貿易におけるドルの割合の減少

IMF国際通貨基金が発表した外貨準備における公式通貨構成に関するデータによりますと、世界の外貨準備に占める米ドルの割合は、2003年の66%から近年では約58%に減少しています。これに関連して、ゲオルギエバIMF専務理事は、現在世界的に米ドルからの回帰・乖離が起きていると指摘するとともに、「近年、各国の間で米国への経済的依存からの脱却を目指す動きが加速している。それは、各国が自国経済の米ドル依存をやめようとしているからである。ドルを利用しての各国に金融・政治制裁・圧力の行使は常に、国際舞台における米政府の政策の一つであった」と語りました。

特に近年、アメリカの政策の実施を各国に迫るべくこの方策がとられたことにより、これまで以上により多くの国がドルから距離を置く結果となりました。これに関連して、米バンク・オブ・アメリカのストラテジスト、マイケル・ハートネット氏は最近、「ドルを武器に転じさせることはドルの地位の低下につながる可能性がある」と警告しています。また、少し前にはエマニュエル・マクロン仏大統領も、「欧州はドルの国際的汎用性に依存すべきではなく、戦略面で独立しなければ欧州は歴史からの抹消という危険にさらされるだろう」と警告しました。

 

ドルに対する中国元の力の増大

現在、国際貿易で使用されている最も重要な通貨の1つは中国人民元です。現在、ロシアと中国の間の貿易の大部分は人民元で行われており、ロシア・スプートニク通信のウェブサイトは、オベルチュク・ロシア副首相の発言として、「わが国と中国の間の貿易量は92%増加し、貿易協定のほとんどはそれぞれの国で使われているロシア・ルーブルと中国人民元を使用して決済されている」と報じました。この報道によりますと、両国の貿易収支は増加を続けており、2023年には 26%以上増加し、総額は2400億ドルを突破しています。この点に関して、国際問題の専門家リー・ティー・ワン氏は「地域協力の発展の指標の一つに自国通貨の使用がある。中国はこの分野における先進国であり、これまでに100以上の国々と貿易取引で自国通貨を使用できるようにする協定を締結している」と述べました。

 

ドル排除傾向はさらに継続

世界貿易の大部分は、確かに現時点では依然としてドルで行われており、アメリカ政府はドルをライバル国や敵国への打撃・圧力行使の手段として利用していますが、この問題は今やアメリカにとって深刻な課題と化しています。各国の通貨バスケットの多様化により、世界におけるドルの支配は終焉を迎えると思われ、またこのことはアメリカの力を低下させると見られます。そのため、多くの国内専門家は米国に対し、ドルを道具として使わないよう警告しています。金融専門家アラスデア・マクロード氏は「アメリカはドルを武器として利用している」と述べています。アメリカは、国際金融システムにはまだドルに代わる通貨がないことを知っているがゆえに、この問題を利用しているのです。アメリカの歴史家でハーバード大学の歴史学教授であるナイル・ファーガソン氏は、この点に関して「アメリカは、過去にスペイン、フランス、イギリスが経験した世界での覇権や優位性の凋落に直面している」と警告しています。

 


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