なぜイスラエルはパリ五輪に参加できたのか?:西側諸国の二重基準
26日に開幕したパリ五輪をめぐっては、様々な団体や市民がイスラエルの排除を求めてきましたが、フランス当局はイスラエルの参加を歓迎しました。
【ParsToday国際】パリ五輪へのイスラエルの参加をめぐっては、様々な団体やSNSユーザーなどが、イスラエルの行為と五輪精神は相容れないとして排除を求めてきました。
そのうちの多くが、国際オリンピック委員会(IOC)がイスラエルによるガザでの犯罪に何らかの反応を示すことを期待していました。それは、IOCが以前からパレスチナ五輪委員会を正式に承認しているからです。
IOCが定めたオリンピック憲章には次の2つの記述があります。オリンピックの目的として「人間の尊厳を保つことに重きを置く平和な社会の確立を奨励する」こと、そして、「手本となる教育的価値、普遍的・基本的・倫理的諸原則の尊重」です。
しかし、このいずれの理念もガザ市民の有利にはたらくことはなく、イスラエルへの非難が起こることもなく、IOCの理念と実態の乖離をあらわにしました。
この乖離は、ウクライナ戦争が始まった2年前を振り返ってみると、よりはっきりします。IOCは、ウクライナ戦争が始まるとすぐに声明を発表し、ロシアを非難しました。IOC幹部も「戦争はIOCの理念に反する」「我々はロシアの行動を非難する。ロシアは五輪の参加資格を失う」と明言していました。
今回のパリ大会でも、ロシアとベラルーシの選手は国としての参加ではなく、「中立な個人資格」としてのみ参加を認められています。このため、両国の国旗・国歌が日の目に触れることはありません。
一方、イスラエルの出場について、IOCのトーマス・バッハ会長は大会前に「この件について疑問の余地はない」と述べ、イスラエルから87名の選手が「国として」参加することが認められました。
昨年10月から続くイスラエルによるガザ攻撃では、これまでに4万人近くのパレスチナ人が虐殺されています。英医学誌「ランセット」は、この数字に間接的な死者数やがれきに埋もれたまま行方不明になっている人を含めると、犠牲者は18万6000人に膨れ上がるとしています。
なぜイスラエルを五輪から除外するべきか?
・子供1万6000人を虐殺
・女性1万1000人を虐殺
・医療関係者520人を虐殺
・ジャーナリスト160人を虐殺
アスリートを殺害するイスラエル
イスラエルはパレスチナのアスリートたちも虐殺しています。
・スポーツ選手、審判など350人を虐殺(パレスチナ・サッカー協会による統計)
・サッカー選手250人を虐殺
・スポーツ施設55カ所を破壊
・ガザのスポーツ施設の8割を破壊
・スポーツ施設をパレスチナ人捕虜の収容所として利用
IOCはこれまで、南アフリカ、ロシア、ベラルーシを五輪から排除したことがありますが、イスラエルに対してそのような措置をとらないのは、西側の二重基準と偽善を示すものといえます。IOCがこうした姿勢を変えなければ、五輪精神は何も残らないと考える意見は数多くあります。
こうした中、パレスチナ五輪委員会(POC)は、イスラエルのスポーツ選手らによる五輪憲章に反する行為をまとめた報告書をIOCに提出しました。
報告書では、イスラエル人アスリートが、ガザ近くに展開するイスラエル軍部隊を訪問し、砲弾にサインをした行為などが例として挙げられています。
POCのナデル・ジャユシ副会長は、「我々はイスラエルによるガザでの人権侵害、大量虐殺を理由として、この要望(=イスラエルの五輪排除)を提出した」と語りました。
ジャユシ氏はまた、「一部のイスラエル人アスリートは、イスラエル軍兵士を慰問するために部隊を訪問している」とし、その一例としてイスラエルの柔道選手ピーター・パルチクがガザ前線部隊を訪れた際に、砲弾に「私から喜びを込めて」などと寄せ書きをし、それをSNSに掲載していたことを挙げました。