アラブ人アナリスト、「米がガザ戦争終結をのぞんでいたなら、イスラエルに200億ドルの武器提供しなかったはず」
(last modified Sun, 18 Aug 2024 03:49:53 GMT )
8月 18, 2024 12:49 Asia/Tokyo
  • ネタニヤフ・イスラエル首相とバイデン米大統領
    ネタニヤフ・イスラエル首相とバイデン米大統領

アラブ人アナリストのAbdel Bari Atwan氏が記事の中で、ガザ停戦交渉に対するアラブ諸国のアプローチを分析し、「エジプトやカタールなどのアラブ諸国の仲介国としての役割を強く批判し、ネタニヤフ・イスラエル首相が意図的にガザ・アルダルジ地区で虐殺を引き起こした後にもかかわらず、これらの国々は無条件で交渉に入った」と指摘しました。

アラブ世界の著名な作家兼アナリストの同氏は、英ロンドンに拠点を置くアラビア語新聞「ライ・アルヨウム」の記事で、カタール首都ドーハでの交渉のボイコットという、パレスチナ・イスラム抵抗運動ハマス指導者のヤヒヤー・スィンワル氏の英断を分析しました。

 

パールストゥデイによりますと、この記事では、スィンワル氏の決定を外圧に対するハマスの威厳と強さの顕示だと評しています。

 

アトワン氏はまた、

「ハマスのこの決定は、過去10ヶ月間にわたる対ガザ戦争でのアメリカの脅迫と調停役たるアラブ諸国の激しい圧力の失敗を表している」

との見解を示しました。

そして、

「これらの協議は、CIA米中央情報局として知られる同国の諜報機関のトップであるウィリアム・バーンズ長官の監督の下でお膳立てされたものである。また、その目的は、テヘランでのハニヤ・ハマス政治局長の暗殺および、レバノン南部でのシュクル同国イスラム抵抗組織ヒズボッラー最高司令官暗殺に対する抵抗枢軸の反応の阻止または延期にあった。しかし、これは奏功しなかった。それは、ネタニヤフ・シオニスト政権イスラエル首相が意図的にガザでの戦火の扇動、および米とその西側同盟国を巻き込むことを目的に、これらの暗殺にこれらのテロに手を出したからである。ジョー・バイデン米大統領でさえ、戦争停止を追求しておらず、ネタニヤフ首相とその内閣に圧力をかける勇気すら持たず、この上なく唯々諾々とネタニヤフ首相の命令と要求に追従している。最近の例でも、高い破壊力を持つF-35戦闘機や爆弾、山の下にある要塞を突破できる岩石破砕機など、200億ドル相当の先進的な軍事装備の送付・提供があげられる」

としています。

続けて、「ガザ地区のトンネルの一つの下から軍事・政治闘争を指揮するスィンワル・ハマス政治局長は、アメリカとイスラエル占領政権を恐れていないこと、そして脅迫され降伏するアラブ指導者たちのことなど眼中になく、シオニストが軍事戦闘や力という言葉に直面していることを証明した」としました。

 

そして、

「ネタニヤフ首相は、ガザ地区のアル・ダルジ地区の学校での虐殺およびハニヤ氏暗殺の実行により抵抗勢力を怯えさせられると考えており、またシオニスト侵略軍をエジプト・ガザ国境のサラーフッディン枢軸(フィラデルフィア)に留めおくこと、そしていつでもガザを再攻撃する権利、ガザ北部への戦闘員の帰還阻止のためガザ中心部ネツァリム回廊に検問所を設置することなどを含んだ諸々の条件を、パレスチナ抵抗勢力に押し付けられると思っていた。しかし結果は全く逆だった。その最たる例として、交渉はカタール首都ドーハでの停戦と捕虜交換の実現を目指しての交渉の新ラウンドに、ハマスが出席しなかったこと、そしてこの点に関する以前の要求と合意の履行を主張したことが挙げられる。過去にキャンプデービッドとオスロでの妥協的合意が数日、あるいは数時間以内に成立した一方で、これまで10か月にわたる戦争にもかかわらず、ガザのパレスチナ抵抗運動の指導者らは譲歩しなかった」

としています。

 

さらに、交渉におけるアラブ圏調停者の存在と「米国の要求に対するアラブ情報機関のトップの追従」に言及し、「これは米がイスラエル政権とそれによる殺害、そしてアラブ人に対する権力誇示を支援し続けることを裏付けている」と語りました。

 

そしてアラブ諸国の指導者らに対し、「実績、哲学、理知について語り、ネタニヤフ首相とその手下将軍への奉仕や、占領下のパレスチナとの陸路国境を通じたイスラエル政権の食糧ニーズ確保を拒否することを求める。それは特に、彼らが小麦粉一袋や薬一箱、ボトル1本の水すらガザ住民に送付できないことが理由だ」と述べました。

 

加えて、「バーンズ米CIA長官、アモス・ホッホシュタイン西アジア問題担当米国特使、マクガーグ米ホワイトハウス西アジア・北アフリカ問題調整官を含む4人の米国特使を地域に派遣したことは、アメリカが地域情勢を懸念し恐れていること、そしてイスラエルの侵略・殺戮行為のぞっくを望んでいることを示すものだ」とし、「アメリカはアラブ諸国の指導者たちを、簡単に騙しやすい間抜けなカモととして扱っている」と続けました。

 

アトワン氏は最後に、

「軍艦や原子力潜水艦を見せ付けての米国の脅しはイエメン人の意識に恐怖心を与えていない」と述べ、シンワル・ハマス新政治局長を称賛し、 「戦闘者シンワル氏には、ハマス軍事部門カッサム旅団司令官だった故モハンマド・アル・デイフやその右腕たるマルワン・イーサーのような自身の参謀役の助けを借りて、安心してガザ中心部の地下から状況を管理する権利がある。我々の見解では、この戦闘者はパレスチナ国民だけでなくアラブ世界をも導く能力を持っている」

と結んでいます。

 

 


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