対イラン制裁の立案者「米の対イラン制裁は効果なし」
米国の対イラン制裁ネットワークの構築者として知られるリチャード・ネフュー氏が、「米の対イラン制裁行動は効果がなくなっている」と語りました。
【ParsToday国際】オバマ政権下で対イラン制裁を立案し、西アジア・北アフリカ政策に関する米シンクタンクのメンバーでもあるリチャード・ネフュー氏はシンクタンクに掲載された記事において、「対イラン制裁の履行がこれまで以上に厳しくなり、例年のような国際的な対イラン制裁の再開は困難になっている」とし、「現在真に問題を生み出しているのは、イランに対する国際的な制裁の実施である」と指摘しました。
制裁は自動的には機能しない
ネフュー氏はさらに、各国と協調した対イラン制裁を目指した米国の画策が失敗したことに言及し、「一部の人々の想像に反して、制裁の『立案、監視、実施』は非常に困難な作業であり、大量のエネルギー消費が必要になる」としました。そして、こうした状況を「水面では優雅に泳いでいるが、水中では必死に足を動かしているアヒルのようなものだ」としました。
加えて、制裁を実施することの困難についても、以下のように語りました。
「制裁は理論上は自動的に実行されるように見えるが、実際はそうではない。例えば、イランはミサイル部品禁輸に従うことを拒否しており、企業、海運会社、銀行も自動的にこれに従うわけではない」
ネフュー氏によれば、米は核合意成立9年前の2006年に、このような制裁の問題を考慮し、政府、銀行、企業などに対し、制裁不履行の場合の結果について警告しました。そして、制裁に違反した者も制裁するという「二次制裁」を導入することで、こうした脅迫に意味を与え、対イラン制裁の対象者と取引する者を米国の金融システムから排除すると表明しました。
ネフュー氏はさらに、次のように綴っています。
「核合意により終了した対イラン制裁キャンペーンは広範囲にわたり、またその企画・立案は困難だった。特に、イランやその他の米国の敵が自らの抱えるリスクと脆弱性をより強く認識している現在、再び同じことを行うのは極めて困難であろう」
ネフュー氏はその上で、「イランは現在、自らとその資産をより効率的に守っている」とし、「トランプ前大統領がとった最大限の圧力行使というアプローチは、この点をある程度裏付けている。確かにこの政策は経済面でイランに重大な影響を及ぼしはしたが、トランプ氏退任時に新たな核合意には至らなかった」と記しました。
対イラン国際制裁強化の諸問題
ネフュー氏はさらに、近年の世界的な変動を指摘し、「近年、制裁に対応するためにイランがとる対抗策は、より広範囲かつアップデートされたものになってきている」とし、イランの核能力が以前よりも増し、現在では数千台の遠心分離機が稼働していると指摘しました。
そして、「2015年に国際社会の大半が歓迎した核合意が存在していたという事実は、これから制裁を強化する上での課題となるだろう。その不十分さについて再び論拠を提起することは、イランの平和的核開発計画が直接の脅威であるとは考えていない世界の多くの国にとって説得力を持たないかもしれない」としました。
ネフュー氏によれば、国際的な制裁キャンペーンを奏功させるには各国の協力が必要ですが、それは今や存在しないようです。