アメリカ議会の9.11に関する報告へのサウジアラビアの反応
(last modified Sun, 17 Jul 2016 10:28:14 GMT )
7月 17, 2016 19:28 Asia/Tokyo
  • アメリカ議会の9.11に関する報告へのサウジアラビアの反応

サウジアラビアのジュベイル外務大臣が、9.11アメリカ同時多発テロ事件に関するアメリカ議会の報告に対し、この攻撃へのサウジアラビアの関与に関する疑いが晴れるよう期待感を表明しました。

キャラミー解説員

ジュベイル外相は16日土曜、9.11へのサウジアラビア政府の関与に関する議会の調査委員会の28ページに渡る機密報告の公表を歓迎し、「サウジアラビアに恐れるものはなく、テロやその資金提供者の訴追を決意している」と語りました。アメリカ議会の調査委員会は、15日金曜、9.11テロに関する28ページの機密報告を公表しました。この報告は、一部のハイジャック犯や人物のサウジアラビア政府とのつながりを指摘していますが、そのつながりも、直接、確認できるものではありません。報告書のこの部分は、アメリカの議会と政府の長年に渡る議論の末、9.11で死亡した人の遺族の要請により、発表されました。

 

アメリカの関係者は、この機密文書の発表により、西アジアのアメリカの重要なパートナーであるサウジアラビアとの外交関係が損なわれるのを懸念していました。しかし、この報告は、ファイル17として発表され、そこでは、テロに関与したとされるおよそ40人のサウジの関係者の名前が挙げられています。

当時のグラハム上院議員によれば、この情報の主要な部分は、28ページのアメリカ議会の機密報告に基づくものでした。この文書は、9.11のハイジャック犯が、アメリカ滞在中、サウジアラビアの幅広い支持を受けていたことを示しています。

アメリカ議会の報告は、再度、テロとの戦いを主張する国々の政策に疑いを抱かせるものです。この報告に関する議論は、その政治的な側面を示すものであり、この攻撃へのサウジアラビアの関与は、世界の世論にとって明らかなものです。19人のハイジャック犯のうち、15人がサウジアラビア国籍を有していましたが、これはそのごく一例に過ぎません。

事件から15年を経て、しかも様々な紆余曲折を経て発表されたこの報告はともかく、サウジアラビアが、アルカイダ、ISIS、ヌスラ戦線などのテログループの創設に関与し、テロへを支援していたことはもはや否定できない事実です。サウジアラビアの管轄下にあるワッハーブ派の学校は、世界の過激派の元凶であり、この学校で学んだ人々は、タリバン、アルカイダ、現在ではISISやヌスラ戦線として、世界にテロを広めてきました。

2001年、アルカイダの勢力が、アメリカの世界貿易センタービルへの攻撃を計画しました。そして現在、ISISは、ヨーロッパの政府関係者や人々を脅かし、テロによって、ヨーロッパに新たな9.11を引き起こしています。

フランス・ニースでの最近のテロ、2015年11月のパリでのテロ、その後のベルギー・ブリュッセルでのテロは、テロを道具として用い、悪いテロとよいテロに分けるダブルスタンダードによるものです。このような見方が存在する限り、アルカイダ、タリバン、ISISといったテログループの創設者が、テロとの戦いの旗手と解釈されるのです。

ジュベイル外相は、アメリカ議会の報告を根拠に、サウジアラビアはテロとの戦いの支援国だとしています。アメリカは、サウジアラビアの同盟国として、9.11の波に乗り、西アジアで自分たちの目的を計画し、サウジアラビアのための安全地帯を確保することで、アルカイダ、タリバン、そして現在ではISISの出現を促しているのです。