国連特別報告者のイスラエルに関する国際社会への新たな要求とは?
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パレスチナの人権問題を担当するフランチェスカ・アルバネーゼ国連特別報告者
パレスチナの人権問題を担当するフランチェスカ・アルバネーゼ国連特別報告者が、シオニスト政権イスラエルのスポーツチームから国際大会参加資格をはく奪するよう求めました。
【ParsToday国際】パレスチナ被占領地の人権問題を担当するアルバネーゼ氏は、イスラエル政権の攻撃によりパレスチナ人サッカー選手が殉教したことを受けて、「X」にメッセージを投稿し、同政権の行為を「ジェノサイド」および「アパルトヘイト」と表現するとともに、国際スポーツ大会からイスラエルチームを追放するよう求めています。
これに先立ち、アルバネーゼ氏は複数のメッセージにおいてイスラエル軍機によるパレスチナ人殺害・殉教を非難していました。最新のメッセージでは「スポーツ競技から殺人者を追放する時が到来している。スポーツをアパルトヘイトとジェノサイドから解放しよう。ボールは1個ずつ、シュートは一つずつ」と綴っています。
情報筋によりますと、サッカー元パレスチナ代表で「パレスチナのペレ」として親しまれたスレイマン・アル=オベイド氏(41)がイスラエル軍の攻撃で殉教しました。パレスチナサッカーの元スター選手だったオベイド氏は今月6日、ガザ地区南部で食料の受け取りを待っている最中にイスラエル兵の銃撃によって殉教しました。
ここ数ヶ月、イスラエル政権は米国と連携して設計した「人道支援メカニズム」を用いて、支援を必要とするパレスチナ人をガザ地区の特定の場所に誘導し、これらの拠点周辺で銃撃や爆撃を行っています。記録されている複数の事例では、食料や医療支援を受ける列に並んでいた数十人のパレスチナ人が、狙撃兵や無人機による直接攻撃の標的となっており、人権団体はこの行為を「死の罠」だとしています。
近年、特にガザにおける人道危機が深刻化するにつれ、草の根団体、人権団体、さらには一部の政府や国際機関からも支持を得た、イスラエルに対するスポーツボイコットを求める世界的な要求の波が形成されています。これらのボイコットは、文化、学術、経済、政治の分野でも展開されている、より広範な運動の一部です。
AFCアジアサッカー連盟は、2024年5月にFIFA国際サッカー連盟からのイスラエルの除名を求めましたが、FIFAからの正式な回答はまだ得られていません。インドネシアは、イスラエル代表チームの参加に反対したことを理由に、2023年のFIFAU-20ワールドカップの開催資格をはく奪されました。この措置は国内で広く支持され、パレスチナとの連帯の象徴となりました。もちろん、過去数十年間にもミュンヘン五輪が開催された1972年、モントリオール五輪開催の1976年、シドニー五輪開催の2000年など、いくつかのオリンピックにおいて、一部の国がイスラエル選手のボイコットを呼びかけてきています。
各国はイスラエルに対するスポーツ制裁に様々な反応を見せており、政治的要因、世論、そしてパレスチナの現状に影響を受けています。近年、特にガザにおける人道危機の深刻化を受けて、こうした反応は激化しています。特にヨーロッパでは、ガザにおける人道危機の映像が公開されて以降、世論がイスラエル選手の参加に対して強く神経を尖らせています。
さらに、欧州のサッカークラブはイスラエル選手の獲得を拒否しています。例えば、ポーランドチーム、レギア・ワルシャワへのヨナタン・コーエン選手の移籍は、サポーターの抗議により取りやめになりました。また西側諸国の議会でも抗議の声が高まり、一部の議員はイスラエルとのスポーツ関係の見直しを求めています。
アフリカでも、南アフリカが長年にわたりイスラエルの行動に反対を表明し、1948年のジュネーブ大量虐殺禁止条約違反を理由にICJ国際司法裁判所にイスラエルを提訴した実績があるとともに、イスラエルに対するスポーツボイコットも呼びかけています。この点に関して、南アフリカのスポーツ選手や市民社会団体は、国際スポーツ大会におけるイスラエルのボイコットを繰り返し呼びかけています。
こうした反応は、スポーツがもはや単なる競争の場ではなく、政治、人道面での抗議を表明するプラットフォームとなっていることを物語っています。
イスラエルをスポーツ分野でボイコットする理由としては、次のような様々な理由が挙げられています;
- ガザでの戦争犯罪:23か月に及ぶ戦争で、数百人のスポーツ選手を含む6万1000人以上のパレスチナ人が殉教した他、同地区のスポーツインフラ施設の95パーセントが破壊された。
- パレスチナ人スポーツ選手の殉教:食料を受け取る列に並んでいるときに襲撃された、元サッカーパレスチナ代表チームの元キャプテン、スレイマン・アル・オベイド氏がその一例。
- スポーツがシオニスト政権の合法化に寄与:イスラエルがスポーツの国際大会に参加することは同政権の行動を合法化する一形態とされ、阻止されるべきだと考える人は多い。
もっとも、対イスラエル・ボイコットの呼びかけはあらゆる分野で存在しており、それはガザ紛争でシオニスト政権の犯罪が続く過去2年間でさらに高まっています。実際に様々な国で、市民らがイスラエルへのボイコットを求めるオンラインキャンペーンや抗議集会を開催し、一部の大学がイスラエルとの学術協力を打ち切っていることは、この運動がスポーツの枠を超えて広がっていることを示しています。
国連はこれに先立ち、イスラエルにガザ紛争終結を迫るため厳しい制裁を求めてきました。実際に食料への権利に関する国連特別報告者マイケル・ファクリ氏は2024年6月中旬に「今必要なのは、イスラエルに対する経済・政治的制裁である」と述べました。
ファクリ氏がイスラエルに対する経済・政治的ボイコットの必要性を強調しているのは、政治的圧力が奏功せず、ガザでの戦争と同地区の被抑圧民の殲滅を狙った大量虐殺の停止をイスラエルに繰り返し要求しているものの、返答がないことに注目してのことです。
実際、2023年10月7日のパレスチナ側による対シオニスト攻撃「アクサーの嵐作戦」を受けてイスラエル側がガザ地区への攻撃を開始して以来、ボイコット運動を取り巻く状況は大きく変化しました。この作戦とその後のガザ戦争の結果、ボイコット運動と親パレスチナ組織の長期的な目標の一部は達成されています。ガザ戦争が23ヶ月目を迎えた現在、中南米諸国やヨーロッパを含む西側諸国にまで対イスラエルボイコットが広がる中、シオニストが牛耳るイスラエル政権の孤立化が進むというシオニスト指導者らの悪夢が現実のものとなっています。