トランプ大統領がウクライナ停戦仲介離脱を模索、中国を優先課題に
-
ウクライナ停戦仲介離脱を模索するトランプ大統領、中国を優先課題に
米首都ワシントンで18日月曜、ウクライナ問題をめぐる欧米首脳の会合が開催されました。
ワシントンDCでは18日、重要な会議が開催され、ドナルド・トランプ米国大統領、ゼレンスキー・ウクライナ大統領に加えてフランス、英国、ドイツ、イタリア、フィンランド、EU欧州連合、NATO北大西洋条約機構の幹部を含む一部の欧州首脳が出席しました。
この会合は、米アラスカでのトランプ大統領とプーチン・ロシア大統領の最近の会談に続くもので、ウクライナ戦争の今後の見通しについての議論、および同国における恒久平和の実現に向けた解決策の模索を目的としていました。しかし、一時的な停戦ではなく恒久的な和平合意の必要性を強調したのみで、具体的な合意には至らずに終了ました。
こうした中、米国はウクライナにロシアとの和平を受諾するよう説得する上で重要な役割を果たしてきました。この努力にはいくつかの理由があります。第1に、トランプ氏は2025年に政権復帰する前に、世界のいくつかの紛争を終結させると約束しており、ウクライナ和平を自身の外交的成果の一つとして提示していました。トランプ氏の見解では、ウクライナ戦争の続行は米国の利益を脅かすものであり、米国が中国への対処に集中できるよう可及的速やかに終結させる必要がある、とされています。
第2に、米国国内では対ウクライナ軍事支援のコスト削減を求める圧力が高まっており、J・D・ヴァンス副大統領をはじめとする一部の米当局者は、ウクライナ支援は主に欧州が負担すべきだと考えています。
第3に、米現政権は「ウクライナ戦争において西側諸国がロシアに勝利する可能性はなく、戦争継続は無益である」と結論付けています。もっとも、米国は欧州諸国と共に、ウクライナ和平交渉において同国に安全保障上の保証を提供しようとしています。これは、ウクライナからロシアへの領土譲渡の同意を取り付ける一方で、他方では将来の戦争を防ぐことを狙いとしたものです。
したがって、交渉におけるアメリカの主要軸の一つは、NATO北大西洋条約機構の集団防衛に関する第5条に類似した安全保障保証をウクライナに提供することとなっていました。これらの保証は、ウクライナが正式にNATOに加盟せずとも、ウクライナへのいかなる外部からの攻撃に対しても、米国と欧州同盟国が集団的に対応することを意味します。スティーブ・ウィトコフ米大統領特使は、プーチン大統領がアラスカ首脳会談でこれらの保証に同意したと主張しました。ゼレンスキー大統領はこの動きを「歴史に残る決断」だとし、これらの保証は実用的で信頼性が高くなければならず、しかもウクライナの陸、空、海の安全保障を確保するものであるべきだ、と強調しました。
欧州の首脳もこの提案を支持しましたが、1994年の安全保障確約の失敗例の再発を避けるため、欧州の積極的な参加を求めました。しかし、これらの保証はロシアへの領土譲歩と引き換えであるように思われます。かつて領土面でのロシアへの一切の譲歩にも強く反対していたウクライナは、西側同盟国からの外交的圧力とロシアからの軍事的圧力という複数の理由から、妥協案を受け入れる方向に動いています。
第1に、現場の事実は、クリミア半島やウクライナ東部ドンバス地方の一部といった地域の奪還が困難であることを示しています。トランプ大統領は「クリミアの奪還は不可能であり、ウクライナはNATO加盟を断念すべきだ」と明言しています。
第2に、戦争による疲弊、そして特に米国の援助制限によるウクライナの軍事資源の減少により、ウクライナ政府は和平交渉の受諾を迫られている形となっています。
第3に、欧州諸国の首脳による連携した支持、そして彼らが恒久的な平和の必要性を強調していることから、ゼレンスキー大統領は、米国と欧州が参加する多国間交渉こそがウクライナの長期的な安全保障を確保する最良の機会となり得る、との結論に至りました。このためゼレンスキー大統領は、ロシアとのいかなる合意にも、対ロシア戦争の再発防止のために欧米諸国の安全保障確約が含まれるべきことを強調しています。
いずれにせよ、米国、ウクライナ、そして一部の欧州諸国・機関の首脳が出席するワシントンでの首脳会談は、ウクライナにおける流血戦争の終結に向けた外交努力における転換点となるものです。米国が政治、経済、そして地政学的な理由から戦争終結を求めている一方、ウクライナは領土割譲を受け入れることで強力な安全保障の確約を求めています。しかし、この交渉の成功は当事者双方がロシアの要求とウクライナの期待の間でバランスを取れるかどうかにかかっており、これが実現しなければ、ウクライナ和平はこれまで以上に前途多難になるだろうと思われます。