バグラム空軍基地奪還の試みは米の対外政策失敗の象徴なのか？

アフガニスタン・バグラム空軍基地を奪還しようとするアメリカの試みは、同国の対外政策の失敗の象徴であるとともに、反西側連合に対する米の覇権の衰退を如実に反映しています。

アフガンにおける勢力崩壊の苦い遺産としてのバグラム空軍基地は今年9月、再び地政学的な論争の焦点と化しています。

【ParsToday国際】ドナルド・トランプ米大統領はアフガンのタリバン現政権に対し、この戦略的基地を米国に委譲するよう脅迫しています。しかし、この主張はタリバン政権側から断固拒否されただけでなく、中国、ロシア、インドといった地域の大国からも絶大な反対を受けています。私たちの疑問への答えは至極はっきりしています。然り、この試みはアメリカの戦略的弱点の明白な象徴なのです。この弱点は2021年のアメリカの性急なアフガン撤退に端を発し、今や外交的・軍事的危機と化しています。バグラムは単なる軍事基地ではなく、中央アジアにおける覇権の鍵でもあり、その喪失は米国の覇権に取り返しのつかない打撃を与えているのです。

バグラムの重要性は、決して無視できないものです。アフガン首都カーブルの北方40キロに位置するこの基地は、米国のアフガン占領（2001～2021年）の間、無人機作戦、情報収集、軍事物流の拠点として機能していました。また、この基地の存在により大規模な爆撃機の飛行、特殊部隊の派遣、さらには中国・パキスタン国境の監視が可能となったのです。米国にとって、バグラムは中国の新シルクロードへの架け橋であり、アメリカが中国の影響力を封じ込めるための拠点でもありました。しかし、2021年のジョー・バイデン前政権時代に、アメリカ軍は同盟国との調整なしに慌てふためきながら、数十億ドル相当の装備を放棄しこれらをタリバンに委ねてアフガンを撤退しました。このことにより、米国の優位性は失われることとなったのです。

タリバンはバグラムを占領したとともに、ここを西側の巨人に対する勝利の象徴へと転じさせました。今日、中国はバグラム近郊の鉱業投資を通じて経済的影響力を拡大しており、ロシアはモスクワ・フォーマット（アフガンの各勢力や関係各国の代表を招いての和平協議）を通じて外国の軍事駐留を禁止しています。一大地域大国であるインドも反米連合に加わり、あらゆる外国の軍事インフラを非難していますが、これは直接的にトランプ大統領のことを指しています。

この問題は、主要な国際競争の分野において重要なものです。バグラムは、今や中国の裏庭と化したアフガンにおける中国の影響力に対抗する拠点となり得ます。トランプ大統領は、バグラム奪還に固執することで、失われたアメリカの信頼を取り戻し、自身がアメリカを再び偉大な国にしようとしていることを自国内の有権者に訴えようとしています。しかし、この幻想はアメリカの無力さに端を発しています。専門家は「中国はバグラムで鉱業・貿易契約を結んでおり、その維持のためには代理戦争も辞さない」と警告しています。ロシアはタリバンを支援することで、バグラムをNATO北大西洋条約機構を弱体化させる手段と見なし、また地域諸国はアメリカの干渉・介入の全てを地域の平和に対する脅威と見なしています。

一方、タリバンは断固として拒否するとともに「バグラムを決して手放さない」と強調しました。米国がバグラム譲渡を主張すれば、新たな代理戦争に発展する可能性があります。一方、奪還に失敗すれば、トランプ大統領は米国内で信頼を失い、中国などのライバル国にやすやすと中央アジア制覇を許すことになります。中国封じ込めの手段となり得たバグラムは、今やアメリカの足かせと化しているのです。

結論として、この危機はアメリカの覇権の衰退を反映していると言えます。アメリカは、攻撃的な政策によって戦略的機会を浪費し、今や反西側連合の前に屈した格好となっています。バグラムは単なる基地ではなく、アメリカの過ちを映し出す鏡であり、その過ちによる後遺症は、地域の不安定化から世界的な地位の低下に至るまでの形で、今後何年も続くものと思われます。

ラジオ日本語のソーシャルメディアもご覧ください。