国連がカリブ海での米国の攻撃を国際法違反とみなす理由とは?
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ヴォルカー・ターク国連人権高等弁務官が、「カリブ海における米国の攻撃は国際法に違反する」と表明しました。
(last modified 2025-11-02T08:43:28+00:00 )
11月 01, 2025 18:37 Asia/Tokyo
  • ヴォルカー・ターク国連人権高等弁務官
    ヴォルカー・ターク国連人権高等弁務官

ヴォルカー・ターク国連人権高等弁務官が、「カリブ海における米国の攻撃は国際法に違反する」と表明しました。

【ParsToday国際】ターク国連人権高等弁務官は、「カリブ海と太平洋における米国の船舶攻撃は容認できず、国際人権法に違反している」と述べています。

米国はここ数週間、麻薬を積載しているとされる船舶を数回襲撃しており、その船舶が南米ベネズエラから出港したと主張しています。

ターク氏は31日金曜、「複数の報道によれば、2025年9月初旬以降にカリブ海と太平洋で米軍による一連の船舶攻撃が行われ、60人以上が死亡した。この行為は国際法上正当化の余地はない。これらの攻撃および、それに伴う人的被害の増大は容認できない。米国はこのような攻撃を阻止し、ボートピープルの超法規的殺害を防ぐために必要な措置を講じるべきである」とコメントしました。

この国連当局者の話によれば、国際人権法では、意図的な致死的な武力の使用は最後の手段として、かつ差し迫った生命の脅威を与える個人に対してのみ認められています。しかし、米国当局側の主張では、標的となった船舶の乗員には、差し迫った生命の脅威を与える者も、国際法上、致死力のある武力の行使を正当化するような行動を取る者もいなかったということです。

米国は、カリブ海に多数の米海軍・空軍部隊を派遣し、南米ベネズエラとの緊張扇動を続けています。アメリカ国防総省は過去2ヶ月間にわたり、カリブ海に軍艦、戦闘機、海兵隊、無人機、偵察機からなる艦隊を派遣しました。また、B-52戦略爆撃機はベネズエラ沿岸で「爆撃演習」を実施した。さらに、トランプ米大統領はベネズエラとの緊張が高まる中、ベネズエラにおけるCIA米中央情報局の活動を許可しています。加えて、米国防総省は先週、世界最大の航空母艦ジェラルド・R・フォードとその航空部隊をカリブ海に派遣すると発表しました。

ここ数週間、米軍による一連の攻撃で船舶が沈没しており、ホワイトハウスはそれらの船舶がベネズエラからの麻薬を積んでいたと主張しています。もっとも、トランプ大統領は「今後、ベネズエラ本土も攻撃の標的になる可能性があるか」との質問に対し、「正確には述べたくない」と答えるるにとどめました。

ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領によれば、トランプ大統領はいわゆる「麻薬戦争」によってベネズエラに「今世紀最大の大陸的脅威」をもたらしており、最近になって同国に対する地上侵攻の可能性を表明しました。米国は麻薬カルテル「デ・ロス・ソレス」(太陽カルテル)がマドゥロ大統領と関係しているとし、マドゥロ大統領逮捕につながる情報提供への報奨金を2500万ドルから5000万ドルに引き上げています。

もっとも、トランプ米大統領は31日金曜、対ベネズエラ攻撃計画に関する報道を「事実ではない」として否定しました。しかし、マドゥロ・ベネズエラ大統領は、トランプ氏の欺瞞と約束破りの経歴を踏まえ、正反対の結論に至っており「トランプ氏の(攻撃の)否定はかえって、ベネズエラ国民の間で、米国がベネズエラに対して陰謀を企てているという確信を強めている。ベネズエラに対して行われていることはすべて、戦争、政権転覆、そして我が国の石油資源の窃取を正当化することが目的だ」と述べました。

マルコ・ルビオ米国務長官も同日、「トランプ政権がベネズエラの軍事施設への攻撃を決定した」とする報道に反論し、「X」に「状況を把握していると主張する情報筋が、あなたを騙して偽の記事を書かせた」と投稿しています。これは、米国がより攻撃的な対ベネズエラ姿勢を強めている中、攻撃は「いつでも」始まる可能性がある、とする米紙マイアミ・ヘラルド紙の報道に反論したものです。

マイアミ・ヘラルドに加え、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルも先月30日、「トランプ政権はベネズエラの麻薬密売に利用されている軍事施設を攻撃の標的として選定した。だが、トランプ大統領は攻撃実施の最終決定をまだ下していない」と報じました。

米国当局はしきりに否定いるものの、トランプ大統領は米国向け麻薬密売への対抗を口実にベネズエラ侵攻を決意している模様です。この行動に先立って、複数の船舶への度重なる攻撃がなされましたが、国連によれば、これらの船舶は人命に対する差し迫った脅威を与えるものではなく、国際法の下で致死力のある武力の行使が正当とされるような行動もとっていなかったということです。

 

 


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