ウクライナ情勢|第20次対ロシア制裁が準備中/ウクライナ危機の影に覆われる欧州
-
第20次対ロシア制裁の準備が進む
欧州が対ロシア制裁の第20弾の準備を進める一方で、継続的な対ウクライナ援助や同国政府内の金融汚職をめぐる見解対立により、EU内の政治的ムードが緊迫化しています。
ウクライナ戦争は勃発からすでに3年以上が経過し、今や戦場を超えて欧州各国の政府にも影響を及ぼすという局面を迎えています。国民の圧力、金融汚職、そして増大する経済コストにより、多くの欧州諸国にとって無条件の対ウクライナ支持の継続は困難になってきています。こうした状況下、EU欧州連合は内部対立を抱えながらも、対ロシア制裁の道を歩み続けているものの、その道筋はかつてないほど不透明で前途多難となっています。
第20次制裁と欧州で高まる緊張
カヤ・カラスEU外務・安全保障政策上級代表は、ロシアに対する第20次制裁措置の準備を開始したことを明らかにしました。今回の措置は「ロシアの弱点」に焦点を当てることになっています。
ドイツのフリードリヒ・メルツ首相も、欧州各国政府が今後数週間以内にこの措置計画の最終決定に向けて調整することを明らかにしました。
一方、一部の欧州諸国は、対ウクライナ財政支援の継続に関して強硬な姿勢を示しています。例えば、スロバキアは、ウクライナ政府内での組織的な汚職が支援の正当性を揺るがすとして、ウクライナへの1400億ユーロの配分割り当てに明確に反対しています。またポーランドも、汚職がウクライナのEU加盟への道を阻む可能性があると警告しています。
ドイツ国内の対立と世論の圧力
ドイツでは、ウクライナ向け武器輸出の継続に対する批判が強まっています。ドイツ連邦議会の一部の議員は、ウクライナ政府内における最近の金融汚職を理由に、同国への武器輸出の停止を求めています。さらにエネルギー危機もこれらの対立に追い打ちをかけており、制裁措置によってドイツはこれまでの2倍の価格での石油とガスの購入を迫られていると批判する声もあります。同時に、ウクライナの若者のドイツ入国問題もメルツ首相とゼレンスキー・ウクライナ大統領の間に軋轢を引き起こしており、欧州メディアによれば、この問題はドイツの移民政策に影響を与えかねないということです。
西側諸国におけるウクライナ大統領の信頼が危機に直面
ウクライナで経済的圧力と汚職が蔓延していることから、同国のウォロディミル・ゼレンスキー大統領の位置づけは欧州において低下しています。一部の欧州政治家は、仏パリで予定されている同国のマクロン仏大統領との会談を含むゼレンスキー大統領の外遊を「汚職の報奨」とさえ評しています。西側諸国の当局者はウクライナに対し、財政支援の使途についてより明確な保証を与えるよう求めており、これはウクライナ政府への信頼の低下を反映していると言えるでしょう。

