米国の多層戦略:カリブ海における戦争の影からウクライナ和平推進に至るまで
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ホワイトハウスが複数の安全保障・外交案件に同時対応している一方で、アメリカの高官らはここ数日、南米ベネズエラ、イラク、ウクライナ情勢に関する新たな立場を表明しています。これらの立場は、トランプ米現政権が政治的圧力の行使、地域における影響力の維持、自らが思惑とする和平計画の推進という道を歩んでいることを物語るものです。
(last modified 2025-11-22T11:06:17+00:00 )
11月 22, 2025 19:34 Asia/Tokyo
  • ベネズエラへの軍事介入に関する米国の決定は曖昧
    ベネズエラへの軍事介入に関する米国の決定は曖昧

ホワイトハウスが複数の安全保障・外交案件に同時対応している一方で、アメリカの高官らはここ数日、南米ベネズエラ、イラク、ウクライナ情勢に関する新たな立場を表明しています。これらの立場は、トランプ米現政権が政治的圧力の行使、地域における影響力の維持、自らが思惑とする和平計画の推進という道を歩んでいることを物語るものです。

カリブ海における米国の軍事活動の大幅な増加から、イラク政策の変更をめぐる憶測の否定、ウクライナ和平プロセス加速を求める政治的圧力まで、ここ数日の米国当局者による一連の発言と行動は、アメリカ政府の戦略の新たな様相を呈しています。これらの情勢変化は、米国が目標達成のために軍事的圧力、外交の活発化、そして政治的影響力の行使を組み合わせたアプローチを追求していることを裏付けるものです。

【ParsToday国際】このニュース記事では、国際情勢における米国の最も重要な動向を検証していきます。

ベネズエラへの軍事介入に関する米国の決定は不透明

ホワイトハウス当局者は「トランプ大統領は、対ベネズエラ地上侵攻の可能性についてまだ最終決定を下していない」としました。この主張がなされたのは、米軍が最新鋭の空母の派遣や1万5000人の兵士の移転など、ベネズエラに多数の部隊を派遣している中でのことです。

米国筋は米CNNに対し、「トランプ大統領は軍事的・政治的圧力によって、直接的な措置なしにマドゥロ・ベネズエラ大統領に辞任を迫れることを期待している」としました。トランプ大統領は3日連続で、政府施設への攻撃から限定的な特殊作戦まで、軍事的選択肢に関する報告を受けています。しかし、トランプ氏は一部の事柄においては米軍へのを理由に、直接的な軍事行動には時折躊躇的な姿勢を示しています。

同時に、ホワイトハウスがここ数日、「ベネズエラにおける作戦の可能性」を検討する目的で、3回の重要な会合を開いたと報じられています。この地域の緊張を高める動向としてF-35戦闘機や軍艦の配備、そしてカリブ海北東部プエルトリコにおける米海軍基地の再開などが挙げられます。

イラク担当米国特別代表に関する噂への米国政府の反応

イラク情勢の変化は、米国当局者にとっても重要な議題となっています。ホワイトハウスに詳しい情報筋は、マーク・サワヤ(Mark Savaya)米イラク担当特別代表の解任に関する噂は「全く根拠がない」としました。サワヤ氏自身もSNSへの投稿で、自身の任務はこれまでと変わらず、「今後数週間でイラク首都バグダッドでの外交活動を拡大していく」と強調しています。

外交筋によれば、米国務省の高官代表団がバグダッド訪問を計画しており、両国間の政権樹立プロセスの検証、国内安全保障、経済問題に関する協議に重点が置かれる見込みです。サワヤ米大統領特使は、米国として「イラク政権樹立への外国の干渉を一切容認しない」と明言しています。

米国はウクライナ和平プロセスの加速に向け政治的圧力を行使

アメリカは、ウクライナ情勢に関しても新たな動きを見せています。米国筋によれと、ゼレンスキー・ウクライナ大統領は米陸軍のダニエル・ドリスコル長官との会談で、米国が提案する和平案の検討の開始に同意しました。米国は、ウクライナが今月27日までに同案に調印することを期待しています。

複数の報道によれば、アメリカの提案には、米国による安全保障確約及び非武装地帯の設置と引き換えに、ウクライナ東部ドンバス地域の一部をロシアに割譲することが含まれているということです。ホワイトハウスは「トランプ大統領はこの計画を支持しており、米国外交団は過去1ヶ月間、ロシア政府およびウクライナ政府と連絡を取ってきた」と表明しています。

同時に米国防総省は、対ウクライナ支援予算の一部を重要鉱物資源の国内開発に充てることを発表し、この措置を「米国の防衛産業にとって不可欠な措置」だとの見解を発表しました。また、アメリカ国連大使は制裁措置に関して、「ロシアが停戦に同意しない場合、新たな制裁を課す」と警告しています。しかし、ロシアは「圧力には屈しない」と表明しました。

最近の一連の動向は、米国政府がベネズエラ、イラク、ウクライナという3つの重要な事例において、軍事的圧力、外交的機動性、政治的影響力の適用を組み合わせた、世界の戦略的地域におけるアメリカの目標推進に向けて積極的かつ多層的な戦略を追求していることを物語っています。

 

 


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