ゼレンスキー大統領が突然選挙の実施に同意した理由とは?
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ゼレンスキー・ウクライナ大統領が、戦時中という状況下で数カ月間にわたり大統領選挙の実施に反対してきた末、突然態度を豹変させ、国内で大統領選挙を実施する用意ありと発表したことを受け、アナリストらはこの立場の変化の背後にある動機の解明に転じています。
(last modified 2025-12-13T07:43:33+00:00 )
12月 13, 2025 13:11 Asia/Tokyo
  • ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領
    ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領

ゼレンスキー・ウクライナ大統領が、戦時中という状況下で数カ月間にわたり大統領選挙の実施に反対してきた末、突然態度を豹変させ、国内で大統領選挙を実施する用意ありと発表したことを受け、アナリストらはこの立場の変化の背後にある動機の解明に転じています。

【ParsToday国際】一部のアナリストは、ゼレンスキー大統領が突然の姿勢転換により選挙実施の用意ありと表明したことを、ウクライナ国内での金融汚職の拡大、戦場におけるウクライナ軍の惨状、米国からの安全保障確約の獲得に向けた取り組みといった問題に関係づけています。

米紙ニューヨーク・タイムズはこの点について「ゼレンスキー大統領は、戦時下での選挙実施は不可能と考えていたこれまでの立場を変え、米国から安全保障の確約を得ようとしている。これは、ドナルド・トランプ米大統領が最近、ウクライナとの軍事紛争におけるロシアの勝利は避けられず、時間が経つほど状況がウクライナにとってより困難になるだろうと指摘した中でのことである」と報じています。

同紙はまた、ゼレンスキー大統領の選挙関連発言がなされたのは、ウクライナ国内での大規模な金融汚職の発生および、長年にわたり自身を補佐してきた同国アンドリー・イェルマーク元大統領府長官がこれらの事件に関与していた事実が明るみに出たことで危機が高まった中でのことだと指摘しました。一方、ロシアの戦場での近年の軍事的戦果も、この姿勢の変化に影響した可能性があります。

ゼレンスキー大統領は最近、戦時下での選挙実施は不可能というこれまでの見解を覆し、突如として選挙実施に同意しました。この姿勢の変化を分析していくと、ウクライナ国内における複数の重大な危機と外的要因が交錯している事実が浮かび上がってきます。

ウクライナでの内政圧力と正統性の危機

ゼレンスキー大統領は現在、ウクライナ国内で多面的な危機に直面しています。そのうち最大とされるのは、同大統領の側近の1人・イェルマーク大統領府長官をも巻き込んだ大規模な金融汚職により、政府に対する国民の信頼が深刻に毀損されていることです。一方で、戦場での度重なる敗北とウクライナ軍の撤退は、政府の軍事的・政治的指導力の有効性に疑問を投げかけています。こうした状況の中、ウクライナ国会議員らからも内部批判が強まっており、特にオレクシー・ゴンチャレンコ議員はゼレンスキー大統領の無条件辞任を求めています。

米国を中心とした外的圧力

一方で、決定的な外的要因も指摘され、その最たるものはアメリカの政治情勢の変化です。ドナルド・トランプ米大統領が「ロシアの勝利は不可避」と明言し、ウクライナでの選挙実施の必要性を強調したことは、ウクライナに明確なシグナルを送った形となりました。ニューヨーク・タイムズ紙の分析では、ゼレンスキー氏の姿勢の変化が「交渉戦術」に似ていると指摘されています。ゼレンスキー氏は選挙実施への意欲を露にすることで、米国から具体的かつ長期的な安全保障と軍事的保証を得ようとしています。この動向は、西側諸国からの今後の継続的支援の獲得が不確実であることへの対応とみられます。

法的危機とロシアの圧力への対応

ロシア政府は長年にわたり、ゼレンスキー大統領が2024年5月に任期満了となっていることから、同大統領の正統性の欠如を強調してきました。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、選挙が実施されなかったことをウクライナの「戦略的ミス」だと公言しています。ゼレンスキー大統領が条件付きながらも選挙実施の用意ありと表明したのは、ロシアによるこうした法的・政治的な発言への対応であり、国際舞台におけるこの論証の無効化を狙った工作だと言えます。

 

 


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