仏パリ会合はウクライナ戦争の運命を転換させうるか?
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ウクライナ戦争に関するパリ会合の様子
仏首都パリに27カ国以上の首脳らが一堂に会し、ウクライナ戦争とその終結に向けた合意に至る方法について検討しています。
ウクライナ戦争をめぐる外交活動が活発化する中、27カ国の首脳がウクライナ情勢をめぐる協議を目的にパリで会合を開き、欧州、ウクライナ、アメリカの間でウクライナ紛争に関する協調的な合意成立の期待が高まっています。米国からはウクライナ担当のスティーブ・ウィトコフ大統領特使および、トランプ大統領の義理の息子であるジャレッド・クシュナー氏が出席します。当初はマルコ・ルビオ国務長官率いる米国代表団も出席する予定でしたが、ベネズエラ情勢の最近の動きにより見送られました。
一方で、当事国ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に加え、ドイツのメルツ首相、英国のスターマー首相を含む欧州の主要な政府関係者も出席が予定されています。
今回のパリ会合の主な目的の1つは、欧州の約束事と米国の安全保障保証を調整することです。議題としては、予想される停戦の監視、停戦違反への対応、国際部隊の駐留の枠組み、長期的な安全保障上の約束順守、そしてロシアとの和平交渉の原則といった問題も含まれます。
2022年2月に始まったウクライナ戦争は、依然として世界で最も複雑かつ重大な軍事紛争の1つとなっています。これは地域紛争であるのみならず、政治、経済、外交のあらゆる側面を巻き込む、地球規模の紛争とも見なされています。
ウクライナでは戦争が継続しており、ウクライナ軍は失地奪還に苦戦しています。一方、ロシアは特にここ数週間で大きな前進を遂げており、ロシア当局はウクライナ北東端スーミ地方のグラボフスコエ村を制圧したと発表しました。
この点に関して、依然として主要な懸念事項はウクライナ和平計画と現在の戦争の終結とされています。ウクライナはロシアに占領された領土を奪還すべく西側諸国の軍事的・財政的支援を必要としていますが、ロシアは自らの対ウクライナ政策を強く主張しています。
ウクライナ戦争におけるロシアの和平合意要求は、領土・安全保障状況の変更および、西側諸国、特にNATO北大西洋条約機構からのあらゆる軍事的脅迫の阻止という2つの主要な問題に明確に焦点を当てています。ロシアは和平合意のための独自の条件を繰り返し提示しており、その主要な項目の1つがは占領した地域の併合の承認です。ロシアは、ウクライナ東部ドンバス地域(ルハンスク、ドネツク)および、2014年にロシアに併合されたクリミア半島がロシアの一部として承認されることを要求しています。
こうした一方で、ウクライナと西側諸国はこの併合を違法とみなし、「これらの地域に関するあらゆる交渉にはウクライナの主権回復が条件だ」としています。
ロシア側のもう1つの重要な要求は、ウクライナがNATOに加盟しないという安全保障上の確約です。ロシアはNATOの東方拡大を自国の安全保障に対する脅威と見なし、強く反対しています。そのため、ロシアはウクライナのNATO加盟を禁じ、さらには西側諸国による他国のNATO加盟の阻止という安全保障上の確約を要求しているのです。
さらにロシアは、対ウクライナ軍事支援の停止、そしてウクライナ国内のロシア語話者および親ロシア派の権利の保護も要求しています。しかし、これらはウクライナと西側諸国が容認できない問題です。したがって、当事者間の要求と立場の根本的な見解対立により和平交渉は複雑な課題へと変貌しており、この危機の解決は最も重要な国際問題の1つとなっています。
こうした中、ウクライナに関してはヨーロッパ諸国の間でも足並みがそろわず、ヨーロッパはウクライナ問題に関してアメリカとも対立している有様です。
その例として、特にドイツとフランスを筆頭とする西側諸国は外交交渉による戦争終結を強く求めており、和平はロシアとの交渉によってのみ達成できると考えています。しかし、他の欧州諸国、特にロシアの脅威にさらされている東欧諸国は、ロシアへの圧力を強化し、いかなる譲歩も阻止べきだと主張しています。このように欧州諸国間の立場がまちまちであり、今回の会合開催の最も重要な目的の一つが、欧州諸国間の連携とウクライナ問題における共通の立場の確立であることからして、状況はさらに困難なものとなっています。
一方、ウクライナ側は今のところロシアとの交渉に関心を示していません。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシア軍がウクライナ全土から撤退した場合にのみロシアと交渉すると表明しており、この姿勢は、ロシアがウクライナの要求に応じるまで戦争を継続することを意味します。
こうした見解の相違が生じているのは、米国がウクライナ軍の制限、ウクライナのNATO加盟の不許可、さらにはロシアによる占領地域の一部に対する管理の承認を含む和平案を提案し、この枠組みを交渉の基盤とみなしていることが原因です。一方で、欧州当局者は「この枠組みにはさらなる検討と修正が必要であり、領土、安全保障、ウクライナの軍事力の限界といった主要問題に関する自国の立場とは異なる」と述べています。
こうした中で、今回のパリ会合は、これらすべての問題を検討する機会となります。EUは複雑な政治情勢と、欧州内外の様々な国からの圧力を踏まえ、緊張緩和および、外交交渉への復帰の道筋を見出す機会として、今回の会合の開催を決定しました。
この決定は、最近の情勢変化に対する欧州の評価、並びにロシアに対する結束維持に向けた努力に基づいて下されたものです。さらに、EUは米国と共に和平交渉プロセスへの影響力を高め、仲介役を果たしようとしています。
このような状況のもと、パリ会合の参加者は共通の立場に達し、戦争を平和的に解決する方法を見出したいと考えています。しかし、欧州の内部紛争に加え、西側諸国とロシアの関係における大きな課題、そして米国の立場を考えると、この会議の参加者がウクライナでの和平実現と戦争終結に向けた新たな合意に達するとは到底考えにくいものです。
結論として、パリ会合は恒久的な和平や安全を保証するというよりも、ヨーロッパ内部の分裂、アメリカの政策の限界、そして外部からの支援に対するウクライナの切実な必要性を反映したものだと言えるでしょう。

