任期満了間近の国連事務総長
国連のパン事務総長が、あと2週間ほどで任期が満了するのを前に、国連がパレスチナ危機において効果的な役割を果たせなかったことを認めました。
エマーディ解説員
国連の特徴のひとつは、さまざまな危機において中立と公正を守ることです。しかし、歴代の国連事務総長は、このような特徴を持ち合わせていませんでした。パン事務総長も、シオニスト政権イスラエルの犯罪やこの犯罪に対する国連の対応のまずさには触れず、「国連ではイスラエルに対して極端な態度を取ることはできない」と語りました。さらに、「この数十年の間に、異常な数のイスラエルを非難する決議や報告が出された」としました。実際、こうした措置の多くは、パレスチナ危機の解決を促すのではなく、国連が効果的な形で責務を果たす上での妨げになっています。
1945年に国連が創設されてからわずか3年後に、西側の大国の支援を受け、シオニスト政権が誕生を宣言しました。これにより、パレスチナとイスラエルの危機は、国連の歴史と同じだけの歴史を有しています。そのため、パン事務総長のこの危機に関する発言は、国連の無力さを表しています。そしてそれは、国連安保理がパレスチナ危機に関して真剣な措置を講じていないことによります。国連安保理の本質には、国連事務総長に対して以上に疑問が呈されています。
国連はパン事務総長の任期中、シオニスト政権に対して223の決議を採択しました。しかし、そのほぼすべては強制力のないもので、イスラエルによって実施されることはありませんでした。パン事務総長の発言に反し、国連がパレスチナ危機を解決できていない理由は、イスラエルに対して数多くの決議が採択されたことではなく、安保理の政治化や拒否権の存在にあります。安保理で提起されたイスラエル非難決議案の一部は、アメリカ、イギリス、フランスの拒否権の行使によって採択されていません。一方でこれらの国の政府高官は、シオニスト政権の犯罪、特に入植地の建設を批判しています。
パン事務総長は発言の中で、暗にシオニスト政権の占領を非難していますが、任期も終盤になった今、なぜ、国連がシオニスト政権の占領を停止させる上で、いかなる成果もあげられていないのかについては語りませんでした。安保理を除き、ユニセフなどの国連の一部の機関は、専門的な責務を果たす上で、ある程度の成功を収めています。しかし安保理だけが、常任理事国、特に西側諸国の政治的な利益が優先され、これらの国が拒否権を有しているために、それほどの成功を収めることができていません。パレスチナ、イエメン、シリア、イラクの危機が、そのことを証明しているのです。