トランプ大統領のヨーロッパ訪問の終了
アメリカのトランプ大統領の初のヨーロッパ訪問は、具体的な成果を得られずに終了しました。今回の訪問で、トランプ大統領は、ベルギーのブリュッセルでNATO北大西洋条約機構の首脳と、またイタリアのシチリア島ではG7主要7カ国の首脳と会談しました。
トランプ大統領はまた、バチカン市国で初めて、ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王とも会談しました。これらの会談では、国際貿易から、気候変動、テロ対策、難民問題などにいたるさまざまな問題について話し合いが行われました。しかし、ほぼすべての問題において、アメリカとその同盟国の見解の間の違いが明らかになりました。
貿易に関して、G7は再び、アメリカの保護貿易政策を批判しました。
とはいえ、G7は、トランプ大統領が率いるアメリカの圧力を受け、シチリアでのG7サミットの声明の中に不公平な貿易を批判する内容を盛り込むことを受け入れました。
アメリカ政府はこれまで、トランプ大統領が出席する初めてのG7首脳会合で、この重要な経済組織が保護貿易政策を支持することを期待していました。しかし、ドイツ、日本、フランス、カナダといった国は、アメリカの市場に対する製品やサービスの輸出に投資を行っており、「アメリカファースト」に反対しています。
気候変動についても、G7首脳は合意に至ることができませんでした。G7のヨーロッパ諸国は、率先して、気候変動対策に関する国際的な規定の作成と実施に取り組んでいますが、一方でトランプ大統領は、パリ協定からの脱退を表明しています。G7のアメリカのパートナー国やEUは、世界最大の温室効果ガス排出国であるアメリカがパリ協定を脱退した後の結果を懸念しています。アメリカが脱退すれば、アメリカ政府とヨーロッパ・アジア諸国の関係が損なわれると見られています。
G7だけでなく、NATO首脳会議でも、トランプ大統領は期待していた結果を得ることができませんでした。アメリカ政府の高官は、この会議の前まで、NATO加盟国が国防予算を増加し、アメリカが主導する対ISIS有志連合に加わることを受け入れるよう期待していると表明していました。しかし、国防予算の増加については、一部の加盟国が増加することになったものの、期待していたような結果は得られませんでした。
また対ISIS連合についても、NATO加盟国は、アメリカ主導の連合への後方支援を続けることに同意しましたが、NATOは正式に、西アジアや北アフリカでのISISとの戦争には参加しないことを発表しています。ISISとの戦争による政治や安全保障面での結果への懸念が、ヨーロッパの加盟国がアメリカの要請に抵抗している最大の理由です。
いずれにせよ、NATOとG7のテロ対策に関する共同声明はさておき、トランプ大統領は、同盟国とあらかじめ決められていた問題において合意することができませんでした。この失敗により、トランプ大統領とロシアの問題が持ち上がっている中で、アメリカ政府とトランプ大統領個人にますます圧力がかかることになるでしょう。