難民に対するヨーロッパの厳しい対応
IRIBディーンヤーリヤーン解説員 ヨーロッパへの難民流入問題が続いています。EUの多くの国は、日々、難民の受け入れに関して、人道に反するより厳しい立場を取っています。
24日日曜、チェコのゼマン大統領は、改めて、EUが国境管理のために検討している国境警備員の数の少なさを批判しました。ゼマン大統領は、ヨーロッパの国境管理には常に賛成だとしながらも、1500人で国境を警備するのは完全に馬鹿げているとし、「EUの加盟国それぞれが、わずか500人の要員を用意すれば、この国境警備員の数は1万4000人に増加する」と語りました。
EUは、1500人の国境警備員によって難民危機に対応しようとしています。EU諸国の首脳は、6月の会合で、この計画に賛成すると見られています。欧州理事会のトゥスク議長は、最近、「2ヶ月先までに難民問題に関して真剣な対応が取られなければ、EU全体に深刻な危機が広がり、シェンゲン圏も消滅するだろう」と警告しました。
こうした中、イギリスの最大野党・労働党のコービン党首は、フランス北部の難民キャンプを視察し、「イギリスは、EU全体の難民受け入れの分担に向けた努力の一部を担うべきだ」と語りました。また、この難民キャンプの難民の状況に触れ、「彼らは数ヶ月も前からここで暮らしているが、適切な教育や医療サービスを受けられておらず、食料も制限されている」と語りました。一方で、イギリスのキャメロン首相は、EUの難民受け入れ分担計画へのイギリスの参加を拒否しています。
ドイツも、24日、難民の資産の差し押さえを開始しました。ドイツの地方関係者は、中央政府から委ねられた権限を利用し、難民問題における政府の負担軽減のため、難民の資産の差し押さえを開始しました。ドイツ・バイエルン州のヘルマン内務大臣は、「750ユーロ以上の資金をもつ難民は、滞在費としての財産の差し押さえを覚悟すべきだ」と語りました。
こうした中、ドイツ政府は、難民対策のためのトルコへの財政支援の拡大を明らかにしました。この支援は、昨年11月末の欧州委員会の合意に基づいたもので、トルコ政府は、EUへの加盟に関する協議を再開し、資金援助を受け取る代わりに、難民のヨーロッパ流入を阻止することになっています。
難民問題を巡る緊張は、オランダのある都市でも、女性たちの間に催涙スプレーを配るという過激な右派議員の行動を受け、高まっています。オランダの極右政党・自由党のウィルダース議員は、反イスラムの緊張を作り出すため、「女性たちが、イスラム教徒の男性に対して自分の身を守ることができるようにすべきだ」と語りました。オランダでは、催涙スプレーの携帯が禁止されていますが、この議員は、「女性たちが自分の身を守るために、催涙スプレーの携帯が許可されるべきだ」としました。また、「オランダは国境を閉ざすべきだ」と強調しています。
こうした中、EUの内務大臣らは、25日月曜、オランダの首都アムステルダムで、ユーロ圏の国境管理の継続に関して話し合いを行うことになっています。