視点:インド政府によるカシミール地方自治権の剥奪(日本語のナレーション付)
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インド政府によるカシミール地方自治権の剥奪
インド政府が、同国の憲法第370条を削除し、ジャム・カシミール州の自治権を剥奪し、同州を正式にインドに併合しました。
また、インド政府はジャム・カシミール州に数万人の軍隊を配備し、インターネットや通話を遮断するとともに、この地域の各組織の指導者を逮捕しました。
1940年代末、インドとパキスタンがイギリスの植民地支配から独立したことを受け、両国に加え中国がカシミール地方の一部をそれぞれ実効支配しました。その一方で国連は決議の中で、同地域の処遇についてはカシミール地方の現地住民による住民投票で決定することを強調しています。
現在、カシミール地方でインドが実効支配する地域では、住民の90%以上がイスラム教徒です。
しかしインド政府の新たな決定は、ヒンドゥー教徒による同地域での土地売買や定住を容易にし、この地の人口構造の変化を後押しすることにもつながります。
インド政府によるカシミール州の自治権剥奪は、同州民や国内の反対はもとより、イランやパキスタンなど一部近隣諸国の反応に遭遇しています。
OICイスラム協力機構は、今回のインド政府の行動を非難する声明を発表しました。
パキスタンは、同国イスラマバード駐在インド大使、外交官らを国外追放処分とし、インドとの通商関係を絶つなど、強い反発を示しています。
イランのローハーニー大統領は、パキスタンのカーン首相と電話会談し、「イランはインド・パキスタン両国に対し、自制した行動をとり、カシミール地方の罪なき住民の殺害や情勢不安を阻止するよう求める。カシミール問題の軍事的な解決策はない。諸問題は外交により解決されるべきだ」と呼びかけました。
イラン外務省のムーザヴィー報道官は、カシミール地方の一般市民の置かれた厳しい治安状況、そして地域のイスラム教徒に対する制限措置に強い懸念を示しました。
インド政府はカシミール地方の自治権剥奪により、これまで以上にイスラム教徒住民に対する制限を高めています。
これによって、カシミール地方の情勢不安がさらに高まる可能性が指摘されています。
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