フランシスコ教皇が回勅を発表、新型コロナ禍の資本主義は「失敗」
(last modified Mon, 05 Oct 2020 08:32:58 GMT )
10月 05, 2020 17:32 Asia/Tokyo
  • フランシスコ教皇
    フランシスコ教皇

ローマ教皇フランシスコは、新型コロナウイルス禍における資本主義は失敗に終わったとの見解を示し、自由市場政策では人道上最も差し迫った課題全てを解決できないことが、今回のパンデミックで示されたと指摘しました。

CNNによりますと、フランシスコ教皇は、このほど発表した回勅(教皇の教えを説くカトリック教会の公文書)「フラテッリ・トゥッティ」の中で、コロナ・パンデミック後の世界を展望し、「市場はそれ自体で全ての問題を解決することはできない。新自由主義信仰というこの教義を信じよと、どれほど求められようとも」と記しました。

さらに、自由市場資本主義は、社会問題に対する唯一の解決策として「波及」あるいは「滴り」という魔法の理論に訴えることによって「自らを再生する」とした上で、「新たな形態の暴力を台頭させ、社会の構造を脅かしている不平等」を、この「波及」によって解決することはできないとしました。

今回の回勅では、より共同体的な社会を求める教皇の見方が強調され、「キリスト教の伝統は、私有財産に対する権利を絶対的または不可侵のものとは認めず、あらゆる形態の私有財産の社会的目的を強調してきた」と述べています。

ほかにも移民、死刑制度、大衆迎合主義、経済的不公正など幅広い社会問題を網羅し、人種差別主義については「たちまち変異し、消滅する代わりに潜伏して待ち構えているウイルス」と形容。カトリック教会が奴隷制度を明白に批判するまでに、なぜこれほど長くかかったのかと疑問を呈しました。

フラテッリ・トゥッティはフランシスコ教皇が発表する3度目の回勅で、イタリア・アッシジにある聖フランシスコの墓地で署名されました。

 

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