IMF理事、「SDR増強の正式案を6月までに提示」
(last modified Wed, 24 Mar 2021 09:20:44 GMT )
3月 24, 2021 18:20 Asia/Tokyo
  • IMF国際通貨基金
    IMF国際通貨基金

IMF国際通貨基金のゲオルギエワ専務理事が23日、準備資産である特別引き出し権・SDRを6500億ドル相当増強する正式な提案を、6月までに理事会に示す考えを表明しました。

ロイター通信によりますと、ゲオルギエワ専務理事は、SDRの新規配分により、新型コロナウイルスのパンデミックで打撃を受けている加盟国は債務負担を増やすことなく流動性を大幅に増強できると指摘し、加盟国によるコロナ対策の財源確保やワクチン接種プログラムなどの緊急措置も支援することになるとしました。

また、23日の理事会ではIMFスタッフがSDR増強案を策定することについて「幅広い支持」を得られたとし、「SDRの新規配分は全ての加盟国に恩恵をもたらし、世界的なコロナ危機からの復興を支えることになる」と強調したほか、「世界大恐慌以来の大幅な景気後退を乗り越えるためにIMFメンバーがあらゆる手を尽くす覚悟だという強力なメッセージにもなる」としました。

SDRの新規配分は、世界金融危機下の2009年に承認された2500億ドルの配分以来となります。ゲオルギエワ氏によれば、IMFスタッフはSDRの使用について透明性と説明責任を高める新たな措置を考案し、先進国が低所得国にSDRを再配分する仕組みも検討する見通しだということです。正式な提案が承認されれば、年内にSDRの新規配分が行われるとみられています。

ゲオルギエワ氏は1年前からSDR新規配分の必要性を訴えてきましたが、トランプ前政権下の米国の強い反対に遭っていました。しかし米バイデン新政権発足後、イエレン米財務長官が条件付きで支持を表明したのを受け、主要7カ国(G7)と20カ国・地域(G20)も最近、賛成の立場を示していました。イエレン氏は23日の議会証言で、SDR増強によって貧困国は世界経済の回復を阻害し得る政策を回避できるようになるため、米国の国益にかなっているとの見解を示しました。

SDRの配分によって、高水準の債務を抱えるアルゼンチンはIMFに対する返済不履行を回避できるとみられます。

 

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