旧ユーゴ先般ムラディッチ被告の終身刑が確定、ボスニア内戦の集団虐殺に関与
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元セルビア人武装勢力司令官ラトコ・ムラディッチ被告
旧ユーゴスラビア紛争の戦犯を裁くオランダ・ハーグの特別国際法廷は8日、1992~95年に起きたボスニア・ヘルツェゴビナ内戦でのジェノサイド(集団虐殺)に関与した罪などに問われた元セルビア人武装勢力司令官ラトコ・ムラディッチ被告(79)の上訴を棄却し、これにより同被告の終身刑が確定しました。
イルナー通信によりますと、同法廷の裁判長は8日火曜、ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦でのジェノサイド(集団虐殺)に関与した罪などに問われた元セルビア人武装勢力司令官ラトコ・ムラディッチ被告に対し、終身刑を言い渡しています。
同裁判長は、ムラディッチ被告とその弁護団から提出されたすべての上訴を棄却し、これを正当な理由や有効な証拠・文書がないとしました。
1992~95年のボスニア・ヘルツェゴビナ内戦でのムラディッチ被告の罪状は、10万人を殺害し220万人を難民化させたこととされています。
ムラディッチ被告はまた、200人の国連平和維持軍隊員を人質にし、ボスニア・ヘルツェゴビナで民族浄化を命じ、クロアチア人、イスラム教徒、および旧ユーゴスラビア共和国の他の非セルビア人を追放・迫害した罪に問われていました。
ムラディッチ被告は16年間に渡り逃亡生活を送った後の2011年5月、現在のセルビアの首都ベオグラードの北80 キロの小地域にある親戚の家で、セルビアの治安・諜報機関によって逮捕されました。
CNNによりますと、ムラディッチ被告は2017年、ジェノサイドに関与したなどとして終身刑を言い渡されていました。
今回の判決によって、ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦をめぐる主要な戦争犯罪に関する一連の裁判に終止符が打たれたことになります。
同被告と元ユーゴスラビア大統領のスロボダン・ミロシェビッチ被告は、オランダ・ハーグで裁判にかけられた幹部指導者の一部です。
なおミロシェビッチ被告は収監中だった2006年3月に、ハーグの独房で心臓発作により死亡しました。
EUは、ジェノサイドの否定や歴史修正主義、戦争犯罪の賛美は欧州の最も基礎的な価値観に反するものだとし、今回の判決は、ボスニアやヘルツェゴビナ、地域の指導者にとって、犠牲者に敬意を払い、戦争の遺産を乗り越えるための和解を促す環境を促進し、長く続く和平を構築する道を開くものだとも指摘しています。
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