フランスと核実験による人的悲劇;否定から告白まで
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フランスの核実験
フランス政府は、太平洋に浮かぶポリネシア諸島での核実験実施という事実と、同地域の女性の甲状腺がんの割合が世界で最も高いとした報告など、核実験による人的、社会的、健康的、環境的、経済的被害という結果を長年隠ぺい・否定してきましたが、この悲劇に対する自らの責任を認めました。
仏紙「フィガロ」は、仏領ポリネシアでの193回の核実験のもたらした結果に関するフランス・パリでの2日間にわたる会合について報じ、フランス政府は公式にこの行為の責任を受け入れざるを得なくなったとしました。
フランスの海外領土の一部であるポリネシアは南太平洋に位置し、5つの島嶼群(118の島と76の居住可能な島)からなり、19世紀末からフランス領となっています。
フランスはおよそ30年にわたってポリネシアやアルジェリアで数々の核実験を行い、その悲劇的な影響を長年にわたって否定してきました。しかし、もはや世論に押されて核実験に関する自らの責任を告白し、受け入れざるをえなくなりました。
フィガロ紙は、「フランス政府は、193回におよぶ核実験の人的、社会的、健康的、環境的、経済的影響の責任を受け入れると約束し、犠牲者からの損害賠償請求を合法なものと認めている。その一方で、40~50年にわたってポリネシアの女性の間では世界でもっとも多い甲状腺がんの発症が報告されてきた」としています。
ポリネシア社会保険庁は、1985年から現在までに甲状腺がん患者の放射線治療のために6700億ユーロを支出したことを明らかにしており、フランス政府にこの費用の支払いを求めています。
もっとも、仏領ポリネシアのみならず、アルジェリアやオーストラリア、ニュージーランドもフランスの核実験の犠牲国とされています。
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