フランスが、潜水艦契約の破棄で豪・EUのFTA阻止を示唆 
(last modified Tue, 21 Sep 2021 09:21:13 GMT )
9月 21, 2021 18:21 Asia/Tokyo
  • フランス製潜水艦
    フランス製潜水艦

オーストラリア政府がフランス製潜水艦の大型購入契約を破棄したことを受け、フランスは20日、EUとオーストラリアの間で交渉が進む自由貿易協定(FTA)を阻止する可能性を示唆しました。

米CNNによりますと、オーストラリアは先週、米英との新たな軍事合意を優先して、フランスとの900億豪ドル(約7兆1000億円)規模の契約を破棄しました。フランス政府は、これに怒りを示しています。

フランスのボーヌ欧州問題担当相は米ポリティコの取材に、「約束を守ることは民主主義国間や同盟国間の信頼の条件だ」と説明しました。この発言については報道官が確認しており、「もう信頼していない国との間に何事も起きなかったかのように通商交渉を進めることは考えられない」とも述べたとしています。

オーストラリアはAUKUS(オーカス)と呼ばれる安全保障合意の一環で、原子力潜水艦建造のための技術を供与されます。オーストラリアが以前にフランスからの購入で合意していた通常動力潜水艦に比べ、原潜は性能面で優れていると考えられており、今回の事態を受け、フランスは17日、駐米大使と駐オーストラリア大使を召還しました。

EU・オーストラリア間のFTAをめぐる交渉は2018年6月に始まり、これまでに11ラウンドの協議が行われてきました。対象となる分野は輸出障壁の除去や知的財産権などで、次回ラウンドは今秋に予定されています。

通商交渉の権限を持つのは加盟27カ国を代表するEUですが、フランスが反対すれば交渉が進む可能性は低いです。

EUのフォンデアライエン欧州委員長は20日、CNNとの単独インタビューで、フランスとの潜水艦契約の破棄に関して「多くの疑問」に答えを得る必要があると説明し、「加盟国の一つが容認できない扱いを受けた。何が起きたのか、なぜそうなったのかを知りたい」と述べました。

欧州委員会によると、EUは20年、オーストラリアにとって第3の貿易相手となっており、19年には物品の貿易は360億ユーロ(約4兆6000億円)規模、サービス貿易は260億ユーロ規模に上りました。

 

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