文化の夏3
(last modified Mon, 28 Aug 2017 07:14:44 GMT )
8月 28, 2017 16:14 Asia/Tokyo
  • 文化の夏3

今年の暑い夏のさなか、イランの演劇界も盛り上がりを見せています。

この夏、テヘラン市内の130箇所の劇場で、演劇の催しが開かれており、ほぼ毎晩のように、演劇に興味を持つ人々が詰め掛けています。

 

演劇は、最も古い芸術のひとつです。演劇が誕生してから数千年が経過してもなお、この芸術は、世界中で多くの支持を得ています。演劇は、人々の生活や願い、夢を描き出す力を持っており、そのために、音楽や表現、舞台装置、脚本、俳優といった要素を利用します。

 

イランの演劇芸術は、長い歴史を有しています。イランでは、伝統的な演劇の他に、現代的な演劇も広まっており、一年を通して、劇場ではさまざまな劇団による上演が行われています。伝統的な演劇は、多くが特別な行事の際に行われていますが、特に首都のテヘランでは、主に現代的なスタイルの演劇が多くみられます。

 

現在の演劇を見ると、この分野の芸術家たちは様々なテーマを扱っています。主なテーマは、イランと世界の文学の自由な解釈、哲学的な内容、風刺、児童青少年向けの内容、歴史的な出来事や現代世界の出来事をもとにした内容などとなっています。これらの演劇は、演劇に興味がある人々を満足させるものでもあり、またイランの演劇芸術の経済を活性化させるものでもあります。

 

今年の夏に成功を収めている演劇のひとつに、ハイヤームの人形劇があります。この作品は、べフルーズ・ガリーブプールの脚本、監督による人形劇の8作目となります。この劇では、ハイヤームの生涯や思想、イランや世界の人々に及ぼした影響が紹介されています。ガリーブプール監督は、このイランの偉大な詩人への思いについて次のように語っています。

 

「イランの文学と詩を代表する偉大な5人、フェルドウスィー、モウラヴィー、ハーフェズ、サアディ、ハイヤームを心から尊敬している。ハイヤームの劇の脚本を記すのには1年がかかり、音楽にも1年を費やした」

 

ハイヤームの人形劇の作曲チームのリーダーは、アミールべフザードが務め、モハンマド・モオタメディが、この劇のハイヤーム役の声を担当しました。彼はこれ以前にも、いくつかの作品で、イランを代表する詩人の声を担当しており、今回も最高の形でハイヤームの声の役を務めました。ここで、ハイヤームの人形劇の音楽の一部をお聞きいただきましょう。

 

オマルハイヤームは、11世紀のセルジューク朝時代の哲学者、数学者、天文学者、詩人です。彼の四行詩集、ルバイヤートは、世界的に知られています。ガリーブプールは、この劇のテーマについて次のように語っています。

 

「この劇では、ハイヤームの晩年の思想に注目した。つまり、哲学の高い地位を極め、学術や思想の世界に貢献した時代である」

 

ガリーブプールによれば、この作品は、ハイヤームに対する見方が誤ったものであり、そのような見方は彼の時代にも、またルバイヤートがフィッツジェラルドによって英語に翻訳されたときにもみられたために、難しかったとしています。この翻訳は、ハイヤームを有名にしました。

 

学術の分野でも、ハイヤームは、パスカルやニュートンよりも400年も前に、一連の功績を残しています。これは彼が生涯をさまざまな発見に費やしたことを示しています。現在、彼とイスラム教徒に関して抱かれている誤ったイメージが、この劇で払拭されることでしょう。

 

ハイヤームの人形劇は、12の場面を含み、150近い人形が出演します。それぞれの場面では、新たな舞台設定が行われ、映像も多様なものになっています。この劇では、ハイヤームの詩が、英語、フランス語、ドイツ語、クルド語で読み上げられます。

 

今年の夏にテヘランで開催されている、この他の演劇、音楽イベントに、「理性と愛と人間」というオペラがあります。このオペラは、誕生したときから死ぬときまで、理性と愛情という2つの要素が、さまざまな人格という形で、人間をひきつける様子を描いています。

 

この中で、愛情は天と地、母親という3つの要素によって描かれており、その端々で、さまざまな意味を伴って提示されています。人間の人格は、愛情と理性の間で、最終的に愛情に屈し、自尊心と理性さえも捨てようとします。)カット

 

「理性と愛と人間」というオペラを監督したアミール・デジャーカーム氏は、このプロジェクトへの参加に満足の意を示し、次のように語っています。「世界の演劇芸術にはさまざまな形がある。その中には、間接的に上演されるものもあれば、直接的に上演されるものもある。これほど多くの芸術を見れば、すべての時代を通して印象的な、現代の世界に沿った新たな定義を見出すだろう」

 

この舞台監督は、音楽や演劇の分野における自身の活動の歴史に触れ、次のように語っています。「私は以前、語りのない交響楽団による演劇を上演した。このプロジェクトは、俳優によって表現される芸術のひとつで、演劇を音楽的に捉えようとした。『理性と愛と人間』も、私にとっては非常に異なる経験であり、その音楽が演奏されたとき、この作品に無条件で参加することを決めた」

 

このオペラの脚本は、イランの若い歌手が務めており、そのいたるところで、ギーラーン、ロル、クルド、アーザルバイジャーンの地方音楽が使われています。この作品はまもなく、テヘランのニヤーヴァラーン宮殿の屋外の空間で上演される予定です。

 

シャムス・パランデは、詩、動き、音楽を組み合わせた作品であり、パリー・サーベリーの監督によってテヘランで上演されています。パリー・サーベリー監督は、イランのベテランの演劇監督です。シャムスとモウラヴィーの出会いについて扱ったこの演劇は、2000年、2007年、2016年の3回、上演され、4回目となる今年は、新たな配役によって上演されます。

 

パリー・サーベリー監督は、「全力でイラン文化の発展に貢献したい」と語っています。また、シャムスパランデが、過去4度の上演のたびに大きく支持されたことに触れ、「一部の脚本は何度も上演される価値があるものであり、シャムス・パランデは、そうした作品のひとつである」

 

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