週刊イラン
(last modified Tue, 20 Feb 2018 12:56:31 GMT )
2月 20, 2018 21:56 Asia/Tokyo

この1週間の主な出来事です。 イランのイスラム革命が40年目に入りました。 イランのローハーニー大統領がインドを訪問しました。 イランのザリーフ外務大臣が、クウェートでのイラク復興国際会議に出席しました。

イランのイスラム革命は、先週、40年目に入りました。今年のイスラム革命勝利記念日の行進には、例年以上に大勢の国民が参加しました。

 

イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、メッセージの中で、革命記念日の行進への多数のイラン国民の参加を賞賛し、次のように語りました。

 

「イラン国民の壮大な行進は、正確な計算によれば、例年以上に規模の大きなものとなり、約束を破る者たちや敵、外国の勢力に断固とした回答を与えた」

イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師

 

ハーメネイー師は、敵はイランやイラン人に関する誤った憶測により、今年の革命記念日を盛り上がりに欠ける行事に見せようと全力を尽くしたとし、次のように語りました。

 

「イラン国民は実際、イランのイスラム革命が生き生きとしたエネルギーを保っていることを敵に示し、イスラム共和国の創始者、ホメイニー師の理想を守ることを、スローガンやその参加によって声高に叫んだ」

 

このような連帯を伴った参加は、敵に対し、イラン国民が、逸脱した流れによって体制の力の柱が損なわれるのを許さない、ということを示しました。ハーメネイー師の言葉を借りれば、イラン国民の決意と賢明さは驚くべき出来事を築き、イラン国民の威厳は敵を後退させ、イラン国民の強い意思が、彼らの目算を崩しました。

 

イランのローハーニー大統領は、先週木曜、インドのモディ首相の招待を受け、政治・経済高等使節団を率い、3日間のインド公式訪問のためにハイデラバード入りしました。ローハーニー大統領の正式な歓迎式典は、インドの大統領と首相が出迎える中、17日土曜にニューデリーで開催されました。

 

ローハーニー大統領と随行団のインド訪問で、両国の経済・貿易協力に関する15の合意や覚書が調印されました。

ローハーニー大統領のインド訪問

 

イランとインドの関係において非常に重要な問題のひとつは、イラン南東部のチャーバハール港を通したインド、アフガニスタン、中央アジアのトランジットの問題です。

 

この合意は、2016年5月に、イランのローハーニー大統領、インドのモディ首相、アフガニスタンのガニ大統領の立会いの下、3カ国の道路交通大臣によってテヘランで調印されました。

 

イランとインドは、チャーバハール港の開発と8500万ドルの投資のために、インドがイランに1億5000万ドルの融資を行うことで合意しました。チャーバハールは、イランで唯一の太平洋に面した港であり、太平洋を航行する船舶が寄港する可能性を整えています。

 

インドのガッカーリ道路交通・高速道路大臣は、この港の重要性について次のように語っています。

 

「インド政府は、チャーバハール港のプロジェクトができるだけ早く稼動にこぎつけることを特に期待しており、インドの企業も、このプロジェクトへの投資に関心を持っている」

 

現在、その機会が現実となり、イランとインド、その他の地域諸国の協力に向け、強力な結びつきを生み出すことができます。

 

イランとインドは、昔から、文化的、宗教的な共通点に基づく関係を有しています。政治問題においても、両国は地域・国際問題について、非同盟諸国の重要な加盟国として、共通の懸念を持っています。そのため、ローハーニー大統領のインド訪問では、経済問題だけでなく、地域の重要な問題、特に地域の脅威やテロといった問題についても協議が行われました。

 

ローハーニー大統領は、インド南部テランガーナ州のハイデラバードで、シーア派とスンニー派のイスラム学者を前に、両国の数限りない文化的、歴史的な共通点に触れ、次のように語りました。

 

「イラン国民のメッセージは、インドの偉大な国民とのさらに緊密な関係と友好である。イランは、可能なあらゆる分野でインドとさらに親密な関係を築きたいと考えている」

 

イランは、近隣諸国の安全と安定を、自国の安全と安定の一部と見なしています。これについて、イラン政府は、脅威に対抗し、率先して、アフガニスタンやイラクといった近隣諸国の復興を支援しようとしています。この中で、イランのザリーフ外相は、先週、イラク復興国際会議に出席するため、政治、経済代表団を率いてクウェートを訪問しました。

 

イランのザリーフ外相

 

イラクの復興は、ISISによる大規模な破壊や被害の復興を加速させるための機会です。イラクの大規模な破壊は、テロ組織の犯罪によるものだけではありません。テロの支援者たちは、アメリカを筆頭にしたテロとの戦いの国際連合により、イラクに大きな被害を与えてきました。一部の地域では、専門家が、復興に少なくとも10年はかかると予想するほど、被害が大きくなっています。

 

イラク復興国際会議は、2つの点から重要です。一つ目は、建設活動、日常生活の回復、インフラのニーズの確保においてイラクを支援することです。もう一つは、イラクの復興により、この国や地域の治安や安定が強化されることです。

 

イランは、1980年代のイランイラク戦争後、国内で大規模な復興活動を行う必要がありました。このときの経験は、後の、アフガニスタン、レバノン、イラクの復興への協力において活かされました。

 

ここ数年におけるイラクの復興にむけたイランの協力は、電力網の開発、カルバラ、ナジャフ、カーゼマインといったシーア派の巡礼地のサービス施設の修復、インフラの改修など、さまざまな分野で行われています。この段階でも、イランは、全力でイラクの開発と復興に協力し、イラクの政府と国民の傍らにい続ける用意があります。

 

先週、テヘランで、パレスチナ問題に関する諮問会議が開催されました。この会議は、イスラム世界の第一の問題として、パレスチナ問題に取り組む必要性を強調し、幕を閉じました。

 

パレスチナ問題は、パレスチナ領土の占領によって始まり、何百万人というパレスチナ人の追放によって複雑化しました。この陰謀は、70年を経た現在、聖地ベイトルモガッダス・エルサレムをイスラム領土から永遠に切り離そうとする動きにより、新たな段階に入っています。

 

中東問題の専門家、ザーレイー氏は次のように語っています。

 

「アメリカとその関係勢力は、シオニスト政権イスラエルの要求に沿った形でパレスチナ問題を終わらせようと急いでいる。だが、抵抗陣営が勝利を重ね、イスラム世界の重要な部分を、アメリカとシオニスト政権、その地域の関係勢力の支配から解放している」

中東問題の専門家、ザーレイー氏

 

このような動きは、パレスチナ問題を、イスラム世界の第一の問題に変えています。先週、イスラム諸国の有識者が出席したテヘランの会合も、その点を強調して開催されました。

アナ2

世界のシオニストは、現在、政治や軍事のさまざまな手段を用い、アメリカの支援のもとで、聖地ベイトルモガッダスの完全な占領により、自分たちの悪しき陰謀を完成させようとしています。

 

ハーメネイー師は、先ごろ、イスラム諸国議会会合の出席者と会談した際、パレスチナの擁護をすべての人の責務とし、次のように強調しました。

 

「シオニスト政権への対抗が無意味だと考えるべきではない。神の慈悲と許しにより、シオニスト政権に対する戦いは実を結ぶだろう。抵抗勢力は、以前に比べて進歩している」

 

先週のイランを巡る出来事のひとつに、核合意とアメリカの妨害があります。この問題は、ロシア外務次官のテヘラン訪問の中で話し合われました。

 

イランのアラーグチー外務次官は、ロシアのリャブコフ外務次官と会談した後、核合意の実施と、この合意に関するアメリカ政府高官の発言について、「他国とアメリカの協力は、イランにとって重要ではない。だが、イランの立場は、核合意は一言の過不足もなく実施されるべきだというものだ」と語りました。アラーグチー次官は、「核合意に関する再協議の可能性はない。これに関するイラン、ロシア、中国、ヨーロッパ3カ国の立場は明らかだ」と述べました。

アラーグチー外務次官とリャブコフ外務次官

 

50年近くの経験は、アメリカが、常に干渉によって危機を作り出してきたこと、緊張を生み出す行動により、地域で地政学的に優位に立とうとしてきたことを示しています。アメリカの目的は、イラン恐怖症を広めることです。しかし、アメリカ自身が、地域の情勢不安、貧困、テロといった問題の根源なのです。

 

アメリカはまた、イランから、核合意後の国際的な協力や経済活動の機会を奪おうとしています。一方で、核合意は、それに関わるすべての国にとっての国際的な取り決めであり、国連安保理によって国際的な取り決めとして承認されています。このことから、再協議や核合意の修正、追加、あらゆる変更の可能性は存在しないのです。

 

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