世界の情勢:核兵器廃絶にむけたイランの支援
イランをはじめとした、核兵器に反対する122カ国の代表は、7月7日、アメリカ・ニューヨークで行われた国連交渉会合で、核兵器の開発、製造、実験、使用、保有、移送と、核兵器使用の脅迫を完全に禁じた核兵器禁止条約を採択しました。
この核兵器禁止条約の支持者は、この条約を歴史的な成果だとしました。一方、核兵器保有国は、この条約を非現実的とみなし、この条約は核兵器保有数の削減に影響を与えないだろうと語っています。
核兵器禁止条約は、アメリカ、イギリス、フランスやそのほかの核兵器保有国がボイコットした中で採択されました。イランのナジャフィーIAEA・国際原子力機関大使は、この会合で次のように語りました。
「イランは力強く、核兵器の保有や使用、それを使用するという脅迫を禁止するこの条約の目標を支持する」
ナジャフィー大使は、大量破壊兵器を禁止したイスラム革命最高指導者のハーメネイー師の教令に触れ、この条約の条文の中で、核兵器の完全な廃絶への努力における宗教指導者たちの役割が指摘されたことを評価しました。
イランは、世界平和に必要なのは、この種の兵器の完全な廃絶だと考えています。イランはこの問題に関して、60カ国以上の国や国際機関が参加するいくつかの国際会議を開催してきました。このうちのひとつは、2011年4月に開催されました。この国際会合の開会式に際して、ハーメネイー師はヴェラーヤティ最高指導者顧問によって読み上げられたメッセージの中で、次のように強調しました。
「核兵器だけでなく、化学兵器や細菌兵器などのそのほかの大量破壊兵器も、人類に対する深刻な脅威であり、化学兵器攻撃の犠牲国であるイランの国民は、ほかの国の国民よりも、この種の兵器の開発や保有の危険性をより大いに感じている」
さらに、国連の文書において採択されたハーメネイー師のメッセージでは、次のように強調されています。
「イランはこの危険性に対抗する中で、あらゆる可能性を準備している」
ハーメネイー師の核兵器の使用を禁じた教令でも、次のように語られています。
「我々はこの種の兵器の使用を禁じ、このような大きな危険から人類が守られるための努力を、全体的な義務としている」
大量破壊兵器は国際平和に対する、最大の世界的な脅威とみなされているのは明らかです。歴史においては、この種の兵器の利用は人類最大の悲劇を生み出してきました。核兵器保有国は、自国の核兵器保有に関する公式発表を控えていますが、最近の見積もりでは、世界には2万3000発の核弾頭が存在し、そのうちの2万発はアメリカとロシアが保有しています。これに関する国際外交により、国連総会では決議1665など、核兵器に関するいくつかの決議が採択されてきました。
国連総会はこの決議において、核兵器の不拡散とコントロールを目的とした、すべての国による決議の署名の必要性を強調していません。国連総会は、1965年に採択した決議2028において、兵器廃絶に関する委員会に対して、核兵器の不拡散に関する注目を急務とするよう求めました。
1970年に発効した核兵器不拡散条約は、核兵器の保有国に対して、新型核兵器の製造とともに、ほかの国への移送、国外への配備、核兵器開発におけるほかの国との協力を控えるよう求めています。
この半世紀近く、兵器廃絶は、国連の重要な優先事項であり、目標とされてきました。しかし、核兵器を保有するアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国、インド、パキスタン、北朝鮮、そして中東で唯一核兵器を保有するシオニスト政権イスラエルはこの交渉会合に参加していません。NATO北大西洋条約機構の加盟国の多くが、この会合に参加しなかったのです。
兵器の廃絶とコントロールにおける問題は、核兵器に関する考え方が実質的に変わっていないということを示しています。これに関するアメリカの妨害行為は、このことを証明しています。包括的核実験禁止条約や核兵器禁止条約の採択に対する反対は、この政策による結果なのです。
アメリカ国務省のナウアート報道官は、国務省のインターネットサイトで出された声明の中で、はっきりと、アメリカは核兵器禁止条約を支持しないと発表しました。ナウアート報道官の声明には、次のようにあります。
「表面的には核兵器禁止条約とされているこの条約の交渉会合は、7月7日に終了した。アメリカはこの会合に参加せず、またこの条約を支持することもない。核兵器保有国は、この会合にはまったく参加しなかった。また、長期間にわたりアメリカの核の抑止力に依存してきた国のいずれも、この条約を支持しなかった」
イランはくり返し、核兵器のような大量破壊兵器はイランの防衛方針には存在しないと表明しています。これに基づき、イランはNPTに関する国際会合に参加することで、核兵器の完全な廃絶に向けた国際的努力を支持してきました。例えば、国連会合、特に核兵器廃絶に関する国連総会に、イランが積極的に参加していたことが挙げられます。
イスラム諸国、特にイランなどの中東の地域諸国の追求により、1995年にNPT運用検討・延長会議で、中東における大量破壊兵器廃絶に関する決議が採択されました。イランはこの種の兵器の開発と使用は、自国の原則に反する、非道徳的、非人道的な行為だとしています。
イスラム革命の創始者ホメイニー師は、核兵器保有国を非難し、次のように語っています。
「もしこういった国が核爆弾を大量に生産するのであれば、世界は破滅に向かい、多くの国民に大きな被害が及ぶ可能性がある。世界全土の作家、聡明な人々、学者は人々に核爆弾の危険性について知らせ、人々が2つの核兵器大国に抵抗し、核兵器の拡散を防止させるようにしなければならない」
中東における核兵器廃絶を中心とした、NPT加盟国の取り決めの実行に関するイランの提案は、2011年の国連総会で可決されました。イランの提案は、核兵器保有国に対して、核兵器の完全な廃絶に必要な措置を急いで行うよう求めています。
イランはこの取り決めを行う中で、2つの重要な基本的原則を強調しています。第一の原則は、差別なく、このような取り決めの署名国すべてが実施すること、もうひとつの基本的原則は、イランが大量破壊兵器に関する条約の作成と実施において強調していることで、これは発展途上国が発展する上で、核物質や原子力技術の平和的な利用を妨げないことです。
5年に一度行われるNPT再検討会議に、非同盟諸国と共に参加することは、イランがこれに関して重視している措置のひとつであり、これによって、国際レベルでの成果を伴っています。イランはこの会合で、初めて、核保有国やそのほかの西側諸国の規約違反といった新たな問題を、報告といった形で取り上げました。
最後に、イランは原則的に核兵器に反対しており、また、NPT加盟国として、すべての国際的な会合、とりわけNPT再検討会合や国連総会第1委員会などにおいて核兵器廃絶の達成に向かっており、無条件に、完全な形でNPTの規約を守っているというべきでしょう。核兵器禁止条約に対するイランの支持は、ニューヨークの国連交渉会合で、同様の形で強調されたのです。