7月 07, 2022 17:40 Asia/Tokyo

イランの広大な大地は、多くの自然や観光名所を有し、エコツーリズムの可能性という点で、世界のトップ5に名を連ねています。このシリーズでは、イランの自然の恵みをご紹介して参りましょう。

イランの広大な領土には、数多くの山が存在し、イラン国内だけでなく、世界各地の登山家が、イランの山を目当てにこの地にやって来ます。そして、これらの中でも、特に美しいとされているのが、アルボルズ山脈のタフテ・ソレイマーン地区とアラムクーフです。アラムクーフは、イランの自然の宝庫であり、標高4850メートル、世界でも険しい山のひとつとされています。

 

タフテソレイマーン地区とアラムクーフは、北部にあるチャールースという行政区の南に位置しています。タフテソレイマーンの山岳地帯は4400メートル級の山の連なり、アラムクーフの北側の断崖、巨大な氷河の存在により、熟練した登山家の注目を集めています。とはいえ、この山岳地帯は、地理的にも美しく多様なルートを含んでおり、経験が浅く、趣味の程度で登山を楽しもうとする人にとっても、適した場所となっています。登山の技術を学んでいなくても、肉体的な準備が整っている人であれば、夏に、タフテソレイマーンとアラムクーフ周辺のルートを取ることをお勧めします。このルートでは、比類のない雄大な自然を目にすることができるでしょう。

 

タフテソレイマーン地区は、北側をマーザンダラーン州のカスピ海沿岸地域、東側をチャールース川の渓谷、南側をアルムートとターレガーンの渓谷に接し、西側にも森林に囲まれた広大な渓谷が存在します。この山岳地帯は、ケラールダシュトとアッバースアーバードの豊かな緑、そしてその傍らの美しい氷河の存在により、20世紀初め、あるいはそれ以前から、国内だけでなく、海外の登山家の関心を集めてきました。これまで、経験豊かな国内外の多くの登山家が、この険しい山の登頂に挑戦しています。

 

アラムクーフの登頂を目指す人は、主にチャールースからマルザンアーバードを通ルートを取り、そこから、ケラールダシュトを目指します。ケラールダシュトは、前回の番組でもご紹介しましたが、幻想的な山岳地帯で、さわやかな気候と見応えのある美しい自然を有しています。登山の入り口、出発地点は、ルードバーラクと呼ばれる村です。ルードバーラク村には、イラン登山連盟が所有する大きな宿泊施設があり、年間を通して多くの登山家に利用されています。概して、この地域の山の登頂を果たすには、北側のルードバーラク村、南側の小さな村、あるいは西側の村落と、いくつかのルートを利用できます。これらの村は、地域の山の登頂を目指す登山家にとって、非常に大きな存在です。北側の山や断崖を目指す登山家は、ルードバーラクのルートを取らなければなりません。一方、南側の、比較的楽な山を目指す人々は、東南にある小さな村落を通っていくことになっります。

 

タフテソレイマーンとアラムクーフの一帯には、ルードバーラクにある登山連盟のホテルや宿泊施設に加え、大小の避難小屋や休憩所も整っており、これらは、冬の間に利用されています。そのうちのひとつ、サルチャールの避難小屋は、標高3900メートルのところに位置し、ルードバーラクからは数時間かかります。水量の多い河川につながるこの美しいルートは、アラムチャールという名の氷河、そしてその先にある泉へと通じています。サルチャールの避難小屋は、登山家が体を休めるための休憩所となっています。またその向かい側には、標高4500メートルの「チャールーン」という山がそびえ立っており、さらにアラムクーフの巨大な断崖を目にすることもできます。

 

アラムクーフの山と断崖を目指す登山家は、サルチャールから避難小屋の近くにある、アラムチャール氷河を通って数時間歩くと、アラムクーフの壮大な美しい麓にたどり着きます。4850メートルのアラムクーフの頂上と、4750メートルの北ヘルサーン山の頂上の間には、ヘルサーン休憩所があり、厳しい山を登り切り、アラムクーフの登頂を果たした登山家たちに利用されています。

 

タフテソレイマーンとアラムクーフの一帯には、驚嘆せずにはいられない数々の美しい氷河が存在します。アラムクーフの頂上から、あるいはその北側にあるタフテソレイマーン山を眺望した際、周辺の数カ所に、それぞれ独自の魅力を備えた「氷河」を目にすることができます。アラムクーフの北側の壮大な断崖の麓には、「アラムチャール」と呼ばれる氷河があります。この氷河の幅は、およそ100メートルで、長さはおよそ2キロに及ぶと見積もられ、周りを4000メートル級の山に囲まれています。

 

アラムクーフの北西には、「エスピレット」と呼ばれる氷河があります。この氷河は、急な傾斜の氷の断崖が、数百メートルに渡って続いており、そこを登るには、非常に熟練した技術が必要です。また、この氷河は、セ・ヘザールという大きな川の水源となっており、同じセ・ヘザールという名の森林を通って、果てはカスピ海へと流れ込みます。この地域の自然がよく知られているのは、これらの氷河の存在によるところが大きいと言えるでしょう。

 

アラムクーフを訪れる登山家は、その壮大な断崖に魅了されます。この断崖は、山の北側にあり、高さはおよそ800メートルで、最初の100メートルは、完全に凍った状態です。この断崖を登るのは非常に危険で困難な作業であり、それを果たせるのは、豊富な経験と技術を備えた登山家だけだと言えます。断崖には、いくつかの知られたルートがあります。中でも最も代表的なルートは、「フランス人」、あるいは「ポーランド人」と呼ばれるルートです。今日、登山の技術が進歩し、新たな道具や装備が次々と開発されていることもあって、新しいルートが次々に登場しています。昔は、登頂に、まる2日かかると言われていましたが、最近はそのおかげもあってか、短縮され、熟練した登山家であれば、数時間で登り切ることができるでしょう。アラムクーフの冬の登頂には、大きな危険が伴うことも付け加えておかなければなりません。

 


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