ペルシャ語ことわざ散歩(158)「馬を失くして蹄鉄を探す」
皆様こんにちは。このシリーズでは、イランで実際に使われているペルシャ語の生きたことわざや慣用句、言い回しなどを毎回1つずつご紹介してまいります。
今回ご紹介するのは、「馬を失くして蹄鉄を探す」です。
ペルシャ語での読み方は、Asb raa gom kardan va pei-ye na'l-esh gashtanとなります。
この表現は、根本の大切な事と、枝葉末節のつまらない事とを取り違えること、すなわち日本語で言う「本末転倒」に近い意味を表しています。
おそらく皆様も、このことわざの文字通りの意味から、何となく本来の意味をご想像いただけたかもしれません。馬と蹄鉄でどちらがより大切かといえば、馬の方が大切であることは言うまでもないですね。ここで、馬がいなくなったと気づいたときに、馬ではなく、馬がはいている蹄鉄のほうを捜し求めるのは、大切なことと、さほど重要ではないものとを取り違えていることになります。
たとえば、過去の出来事をくよくよと思い悩んで現在の大切な時間を有効に生かしていない人や、将来のための行動が起こせない人、本来やるべきことに身が入らず、スマホや遊びごとにはまってしまっている人、自分が本当に大切にすべき人との関係をおろそかにして、それほど重要でない人との交友関係に走っている人などに対し、このことわざが当てはまるのではないかと思います。
人生の時間は多少の違いはあれど限られており、また終わりはいつどんな形でやってくるか分かりません。これからの人生を実り多いものにし、また一生を終えるときに悔いが残らないよう、自分にとって本当に大切にすべき人や物事のために時間を使い、「蹄鉄ではなく、馬を求める」方向で行動したいものですね。それではまた。