ペルシャ語ことわざ散歩(166)「頭上に唾を吐く」
皆様こんにちは。このシリーズでは、イランで実際に使われているペルシャ語の生きたことわざや慣用句、言い回しなどを毎回1つずつご紹介してまいります。
今回ご紹介するのは、「頭上に唾を吐く」です。
ペルシャ語での読み方は、tof-e sar-e baalaaとなります。
この表現は、日本語で言う「天を仰いで唾する(てんをあおいでつばきする)」という表現と大体同じような意味を指し、自分や他人にとって害悪となる行動に走り、結局はその行動の結果が自分に返ってくることを意味しています。
ペルシャ語ではこれに似た表現として、「煙がその人の目に入る」というものもあります。
例えば、他人に何か害を与えたり、人を痛い目に合わせようとして、逆に自分が痛い目に会うという状態が、こうしたことわざに当てはまります。
よく、職場や学校、ママ友の集まりなどで、他人を貶めて自分が優位に立ちたい、自分の正当性を示したい、または誰かに対する嫉妬や劣等感などの下心から、必死で誰かの悪口や批判、あら捜しにふけったり、人の足を引っ張ろうとする人を見かけますよね。でも、そのような人は間違いなく、いずれは誰からも相手にされなくなって孤立し、結果的に仕事もプライベートも何をやってもうまくいかない、という憂き目に遭っているのではないでしょうか。
このような人はまさに、自分の頭上に向かって唾を吐き、それが自分に降りかかってきているということになります。
また、このようなことをする人は、もっと大きな見方をすれば、他人ばかりか自分さえも大切にしていないと言えるのではないでしょうか。
自分を守りたい、人より優位に立ちたい、自分が正しいことを示したい、などといった下心を心理的に分析していくと、相手やほかの人を自分と比較しての劣等感や嫉妬、心の隙間や欠乏感、コンプレックスなどに行き当たるそうです。しかし、こうした考えを元に行動すれば、結局はめぐり巡って自分に返ってきます。くれぐれも、自分の頭上に向かって唾を吐くような行動は避けたいものですね。それではまた。